移植前、子宮内膜が厚いとホルモン検査は必要ない?
コラム 不妊治療
移植前、子宮内膜が厚いとホルモン検査は必要ない?
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※2020年2月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.45 2020 Spring」の記事です。
- さとちんさん(34歳)からの相談
▶︎移植のやり方について - 初の凍結融解胚盤胞移植は陰性に終わったのですが、2点疑問に感じました。まずは移植前にホルモン値などの検査が一切なかったこと。人工周期での移植で、子宮内膜が厚くさえなっていれば問題ないとのことでしたが、ホルモン値も重要なのでは? それからアシストハッチングをお願いして移植したのですが、移植前に受精卵の画像は見せてくれず、判定日に「アシストハッチングがうまくいってなかったみたいだ」といわれました。こんなこと、あり得えますか?
移植前にホルモン値をチェックしないのはよくあること?
当院では移植前、E 2(エストラジオール/卵胞ホルモン)とP 4(プロゲステロン/黄体ホルモン)の値は必ずチェックしています。E 2はだいたい200 pg / ml程度、P 4はホルモンを補充していなければ1 ng / ml以下くらいで、補充していればもっと高くなってきます。
担当の先生は「子宮内膜が厚くなってさえいれば問題ない」とおっしゃっているようですが、ホルモン補充周期の場合、内膜を診て厚くなっていてもE 2の値が上がっていない方もいます。このような時は補充をきちんとされたかどうか、患者さんに確認する必要がありますね。
貼り薬の場合は正しく貼れていない、飲み薬の場合は飲み忘れたり、決められた用量や回数を守らなかったことが原因でE 2の数値が上がらないことがあります。
また、子宮内膜は排卵する時期に厚くなってくることもあります。ホルモン補充し採卵前に排卵しないよう調整している時もすり抜け排卵という状態になることがあります。そのような場合は移植する日を変更したり、キャンセルしなければいけないことも。
どちらか一つではなく、子宮内膜の厚さとホルモン値、両方みていくことが大事だと思います。
子宮内膜の厚さだけを重要視する先生もいるの?
なかにはそのようなお考えの先生もいると思います。これまでずっとそのやり方で診てこられ、根拠と経験をおもちなのかもしれませんから、一概に間違っているとはいえませんね。
アシストハッチングの件に関しては?
「アシストハッチングがうまくいかなかった」という意味がよくわかりませんね。うまくいかなかったら移植をしないのではないでしょうか。
アシストハッチングは胚が着床できるように透明帯から脱出できるのを補助する技術です。この作業は胚培養士が画像を見ながら行っていく手技で、経緯はきちんと確認しているはず。当院では移植時に必ず、胚の状態をお見せしながら説明しています。
治療のやり方や進め方について疑問や不安を抱いたら、その場で先生に詳しい説明を求めたほうがいいですね。それでも納得がいかなければ、転院という選択もあるかと思います。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.45 2020 Spring
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