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提供卵子による妊娠・出産はハイリスクになる?

インタビュー 不妊治療

提供卵子による妊娠・出産はハイリスクになる?

2020.5.9

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「卵子提供を伴う体外受精を受ける場合、妊娠・出産のリスクが上がる」といった話がメディアで話題になることがありますが、実際のところ、どうなのでしょうか。国際的に活躍する生殖補助専門医、ニチケ・マルクス先生に詳しいお話を伺いました。


 


卵子提供を伴う体外受精を受けることによるリスクはあるのでしょうか?


提供卵子による体外受精についてはまだよく知られていないため、一部のメディアや専門家は「提供卵子による体外受精の場合、妊娠や出産のリスクが上がる」と説明することもあるようですが、そうした指摘は事実とは異なります。卵子提供を伴う体外受精そのものにリスクはありません。

ただし、治療を受ける女性の年齢が上がるにつれて、妊娠糖尿病、子癇前症、タンパク尿、前期破水、早産といったリスクは上昇します。そのため治療前にはしっかりと患者の健康状態と医療履歴を仔細に渡ってチェックし、治療およびそのあとに続く妊娠・出産に差し支えない万全な状態であることを確認します。


 


別の女性の卵子を使うことで、拒否反応が起きることはないのでしょうか?


拒否反応、特に血液型に関する拒否反応については心配される方が大勢いらっしゃいますが、医学的に見ると、患者と提供者の血液型が必ず一致しなければならないということはありません。血液型の異なる患者・提供者間でも治療を進めることは可能です。

しかし、スペインにおいては「免疫的・身体的な特徴が限りなく類似している」ことを条件に提供者を探すことが推薦されているため、血液型や身体的特徴が近い女性をドナーとしてお探ししております。


 


卵子提供を伴う体外受精を行うと、妊娠・出産リスクが上がるのでしょうか?


例外はありますが、提供卵子による不妊治療を受ける患者は、多くの場合が高齢です。したがって妊娠高血圧症の可能性がわずかに上昇します。特に、45歳以上ですと妊娠・出産に当たって問題のない健康状態であることを示す主治医の診断書や追加検査が必要になる場合があります。ですので、妊娠・出産に関わるリスクの上昇は、卵子提供を受けるかどうかではなく、妊娠出産をされる女性の年齢に関連しています。


 


卵子提供を伴う体外受精による妊娠の場合、多胎妊娠や早産が多くなりますか?


答えは「いいえ」です。スペインでは、法律により移植できる胚の数は最大3つまでと決められています。その上で、移植をする胚の数は、患者の年齢、健康状態、胚の状態などを慎重に考慮した上で医師が決定します。

多胎妊娠は母子へのリスクを上昇させる原因となることから、生殖補助医療の専門家は単胎妊娠を勧めています。

卵子提供を伴う体外受精の場合、当院では胚盤胞まで培養を行っていることと、ほとんどのドナーの年齢が30歳以下であることから、単一胚移植を行なっております。


 


卵子提供を伴う体外受精で、産み分けをすることはできますか?


「できる」とも言えますし、「できない」とも言えます。というのも、卵子の提供を受けたからといって、赤ちゃんの性別が分かるわけではないからです。
ただし何らかの遺伝性疾患がある場合や、健康に発育する可能性について事前に確認したい場合には特別なスクリーニングや着床前診断を受診するという選択肢もあり、国によっては、これにより事前に性別を知ることが認められている場合もあります。

産み分けについても、可能であるかどうかは国によって変わります。スペインでは、遺伝性疾患などの医学的な理由がない限り産み分けをすることは法律で禁止されています。


 


 


欧州一の卵子提供実績を誇るスペインの専門家の見解として、以上の通り、卵子提供を受けられた方の妊娠・出産に関するサポートは、自然妊娠の場合と同様で問題ないと考えています。しかし、患者の年齢が上がるにつれて妊娠・出産のリスクが上昇しますので、その点を踏まえた産婦人科選びが大切なポイントになるでしょう。

また、胎児のスクリーニングなどを実施する場合、母親となる女性の年齢に基づいて結果が出されるため、卵子提供を受けられた場合、検査の正確性を期して卵子提供者の年齢を伝えることも大事です。


 


お話を伺った先生のご紹介

ニチケ・マルクス(Markus Nitzschke)先生


生殖補助医療専門医・産婦人科医。世界各国のクリニックでの経験を経て、現在は各所のクリニックと提携しながら国際的な活動を展開。特に卵子提供を伴う体外受精を行う。

≫ Instituto de Reproducción CEFER(Amrita Fertility Japan提携クリニック)

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