AMHの値は短期間で変化する? 採卵ごとに測定したほうがいい?
コラム 不妊治療
AMHの値は短期間で変化する? 採卵ごとに測定したほうがいい?
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※2020年5月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.46 2020 Summer」の記事です。
- ベスプッチさん(34歳)からの相談
●︎︎AMHは採卵ごとに測定する必要がある? - 子宮内膜症で体外受精を5回行い、2回流産。排卵誘発法が合わないのではないかと思い、転院しました。AMHを測定すると2.3ng/mlで、初めて刺激をして5個採卵、5個受精(2個胚盤胞で凍結)、2個移植するも陰性でした。今ピルで卵巣を休めていますが、またAMHを測るところからと言われました。測定したのは5カ月前ですが、AMHの値はそんなに変わるものなのですか? 私の場合、今後どのような治療をするのがよいでしょうか。
AMHが2.3 ng/mlという数値は、やはり低いですか?
個人差がありますが、もう少しあってもいいという感じでしょうか。どの年代も低い人は1 ng/mlを切っていたり、高い人は5ng/mlくらいと平均値が各年代でバラバラです。その値によって卵巣刺激をしたときにどれくらい排卵しそうかという目安でしかありません。同じ検体を同じように測っても再現性が少なくデータにバラつきがあるのも難点です。
5カ月程度でも数値は変動したりするのでしょうか。
年齢とともに下がってはいきますが、急激には下がりません。2.3ng/mlだったのが次の週に測ると2.0 ng/mlだった。では0.3下がったのかというと、それは検査の誤差レベル。ただ、この方のように子宮内膜症があって手術をすると数値はすごく下がりますし、内膜症が悪化しても下がる可能性はあるので、そういう場合、2、3年経ったので測り直す、ということはあるかもしれません。
これまでの排卵誘発の方法については、どう思われますか?
低刺激というのは、恐らくクロミフェンの服用と、少しHCG注射をしているくらいではないかな。刺激の仕方は人によって合う、合わないがありますので、実際にやってみないと効果はわかりません。ただ、5回とも全部同じ刺激方法のようなので、よい卵子ができていないのであれば刺激の方法を変えるべきだろうと思います。
ピルの服用によるAMHへの影響はあるのでしょうか。
どれくらい服用するかにもよりますけど、たとえば1年飲んで卵子が減少するのを抑制できるかというと、大きな効果はないと思います。それより自然に消えていってしまう卵子のほうが多いだろうと。1回の月経周期あたり、100〜1000個くらいがなくなります。FSHが作用してある程度まで大きくなって消えるものは防止できますけど、小さな段階で消えてなくなる卵子は防げませんので。
生田先生でしたら、今後どんな治療をされますでしょうか。
妊娠はされているので、それなりの卵子はできていると思います。あとは受精卵が1個か2個しかできていないとしたら、もう少し多くなるよう中程度の刺激をして様子を見るのもひとつ。その結果によって、この数値はおかしいな? と思えばAMHを測り直すこともあるかもしれませんが、毎回測る必要はないと思いますよ。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.46 2020 Summer
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