移植周期の生理初日からプレマリン®を服用予定。この場合はホルモン補充周期と自然周期どちらになるのか?
専門医Q&A 不妊治療
移植周期の生理初日からプレマリン®を服用予定。この場合はホルモン補充周期と自然周期どちらになるのか?
これから凍結胚を移植予定のエルさん。移植周期にはホルモン補充周期と自然周期がありますが、それぞれの特徴とエルさん自身がどちらで移植することになるのかを神田ウィメンズクリニックの清水真弓先生に伺いました。
相談者:エルさん(36歳)
エルさんの場合、移植はホルモン補充周期と自然周期のどちらになりますか。
移植周期がきたら生理初日からプレマリン®を服用するように言われているとのことなので、エルさんの移植は「ホルモン補充周期」にあたります。
プレマリン®は卵胞ホルモン剤の一つで、移植周期に服用することで子宮内膜を厚くします。プレマリン®と同じ作用の薬にジュリナ®、エストラーナ®があります。
ホルモン補充周期の場合は、薬の力で子宮と卵巣の状態をコントロールするためご自身の排卵日は気にしなくて大丈夫です。
「ホルモン補充周期」と「自然周期」それぞれの特徴を教えてください。
ホルモン補充周期は、薬で子宮と卵巣の状態をコントロールするためホルモン状態が安定しやすいといえます。移植する日の目途を立てやすいため、スケジュール管理がしやすくなる、通院回数を減らせるというメリットもあります。
一方、自然周期はホルモン補充周期に比べ薬が少なくて済み、より自然に近いというメリットがあります。黄体ホルモンが十分出ていて、月経周期が規則的な方は自然周期でも移植が可能です。ただ、排卵が正常に起こらなかった、移植日がちょうど休診日にあたるなどの理由で胚移植がキャンセルとなる可能性があります。
妊娠率はホルモン補充周期でも自然周期でもどちらも変わらないといわれています。いずれも「どちらのほうが優れている」というわけではなく、治療施設の方針もあるので主治医の先生と相談のうえ、どちらにするか決めるといいでしょう。
採卵した周期は生理がくるのが早くなるものでしょうか。
生理周期が早くなるにはいくつかの原因が考えられます。その一つが黄体機能不全です。
黄体とは排卵後に卵胞が変化してつくられる器官で、卵胞ホルモンのほか、受精卵が着床しやすいように子宮内膜を整えるプロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌しています。そのホルモン分泌が不十分な状態を黄体機能不全といい、症状の一つとして月経周期が短くなります。
採卵は、黄体の元となる卵胞の中身を吸引するため、しばしば黄体機能不全が起こり、生理がいつもより早くくることがあります。また、「OHSSだったため、移植が延期になった」とありましたが、OHSSを予防する目的でホルモンに作用する注射や内服を行うと卵胞ホルモンが急激に下がり生理が早くきます。
エルさんの場合、体外受精で全滅したとのことですが、顕微授精で10個受精し数は不明ですが凍結胚が確保できたとのことなので、年齢やAMH値から予想される数より多く採卵できていると思います。
移植で良い結果が出るといいですね。