【Q&A】卵管造影検査後の避妊期間について -浅田先生
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【Q&A】卵管造影検査後の避妊期間について -浅田先生
卵管造影検査後は1周期の避妊するよう言われたが、チャンスを逃してない? 浅田レディースクリニックの浅田義正先生にお答えいただきました。
相談者:ニシさん(37歳)
6月下旬に病院にて卵管造影検査を受けました。(生理開始日から7日目に検査)私が検査を受けた病院では検査後も次の生理まで、1周期避妊するように言われたので、避妊しておりました。卵管造影検査を受けたことのある友人3人に話を聞いたところ、検査日までは避妊するように言われたそうですが、検査後は1周期避妊するように言われていないとの事でした。
病院によって避妊期間の違いがある理由が気になりました。(私も友人3人も油性造影剤で卵管造影検査をしたそうで、条件は同じかと思います。)
友人の1人は卵管造影検査をした月に妊娠し、卵管造影後は妊娠しやすくなると聞いたので、1周期避妊する事でチャンスを逃していないか不安になりました。
また、卵管造影検査後1ヶ月以内の妊娠はリスクがあるのでしょうか。
卵管造影検査について
37歳でAMH値も低いということであれば、不妊治療として早く結果を出すためにステップアップも早めにしなければならないと考えます。
ご質問のありました卵管造影検査についてですが、油性の造影検査を使用されているということですが、実は私は油性の造影剤は一度も使用したことはありません。
50~60年ほど前に、油性の造影剤がよいのか、水性の造影剤がよいのか議論があったようです。過去には“必ず油性の造影剤でなくてならない”と言われていた先生もいらっしゃいましたが、現在では世界的に見ても油性、水性の造影剤に拘っている論文を見ることはありません。
ちなみに私は20年程前より、X線を使用した卵管造影は行っていません。界面活性剤を使用した造影剤を使用し、超音波で卵管の通りを検査しています。
卵管の検査をどれだけ精密に行っても、大きく妊娠率に影響を与えることはありません。ただ、両側の卵管が詰まっていれば、最初から体外受精を行うこともあり、無駄な治療を行わないために、卵管造影検査を行っています。
油性の造影剤がよいのか、水性の造影剤がよいのか議論されていた頃は、卵管造影検査を行った後は“妊娠率が高くなる”と言われていたこともありました。確かに、粘液のようなものが卵管に詰まっていて、それが精子や受精卵の通り道を阻害しているのであれば、それを取り除くことにより、妊娠率は上昇するかもしれません。しかし、卵管造影検査で妊娠率が上昇するという医学的エビデンスを最近は見たことがありません。
造影検査後はリスクがあるのでしょうか
ニシさんとご友人も、油性の卵管造影検査を行われたということですが、かなり古典的な不妊治療をされている施設ではないかと思います。
生理7日目で検査を行い、その周期は避妊しなければならないような造影剤を使用したり、検査をしたりするのであれば検査をしない方がよいのではないかと思いますが、卵管造影検査の後に避妊をしなければならないということは聞いたことがありません。
ニシさんからのご質問をいただいた「卵管造影検査後1ヶ月以内の妊娠はリスクがあるのか?」ですが、すでに妊娠している方の子宮に造影剤を入れると妊娠に悪影響を与えることがあるかもしれません。受精が起こる排卵の時期からその後一週間は着床の時期ですので、それを避けるため排卵の前に検査をすることが一般的ですが、その周期に避妊をしなければならないということは、聞いたことがありません。おそらく、過去にその施設では妊娠中と分からずに卵管造影検査を行ったことがあるため、卵管造影検査の際には避妊する、ということが引き継がれてきたのでしょう。妊娠するために行う卵管造影検査のその周期で、なぜ避妊をしなければならないのか私には分かりません。
早く妊娠するために、近代的で科学的な不妊治療を行っている施設へステップアップすることが、ニシさんに求められていることではないでしょうか。