HOME > 不妊治療 > 顕微授精 > 【Q&A】異常受精を繰り返し、正常な受精卵が育ちません。-浅田先生
HOME > 不妊治療 > 顕微授精 > 【Q&A】異常受精を繰り返し、正常な受精卵が育ちません。-浅田先生

【Q&A】異常受精を繰り返し、正常な受精卵が育ちません。-浅田先生

専門医Q&A 不妊治療

【Q&A】異常受精を繰り返し、正常な受精卵が育ちません。-浅田先生

卵子は採れても、異常受精をくり返す場合はどうしたらいい? 浅田レディースクリニックの浅田先生にお答えいただきました。

2021.3.18

あとで読む





相談者:モモさん(37歳)



異常受精を繰り返し、正常な受精卵が育ちません。
ショート、ロング、アンタゴニスト法で採卵を3回し合計28個の卵子がとれましたが、顕微受精を行っても毎回異常受精(2核ではなく4,5,7核など)を繰り返し、正常な受精卵は1個のみ(胚盤胞3BB)でした。血液検査の結果、抗核抗体が陽性ということでプレドニンを飲んでいます。昨年、3BBを移植しましたが着床せずに陰性でした。現在は治療をお休みしています。卵子は採れても異常受精を繰り返す場合はどのような策があるのでしょうか?
通っているクリニックのドクターは1個でも胚盤胞が出来た事があるので、採卵を繰り返すしかないのでは?という考えのようです。同じような方が周りにおらず、どうしたらよいのか分かりません。



浅田先生からの回答




AMHは問題ないとのことですので、卵巣予備能は問題ないかと思われます。卵巣予備能が正常にもかかわらず、ショート法、ロング法、アンタゴニスト法で採卵を3回行い28個しか卵子が採れていないということは、調節卵巣刺激の技術に問題があるかもしれません。刺激方法を変えれば良い卵子が採れるのではないか、というのは20年以上前の発想と思います。
卵子は女性が生まれる前に一度だけ作られ、その後、年月とともに傷み、排卵の約半年前からランダムに育ちます。そのため、最後の1か月における刺激法で採取できる卵子の数や質を変えるという発想は、科学的ではありません。変えられるのは成熟卵を採るタイミングだけです。

抗核抗体が陽性ということですが、いろいろとある抗核抗体の中で“抗セントロメア抗体”という抗体が陽性の場合、有意に異常受精が多くなることを当院は以前から報告しています。また当院は、それについての基礎的実験も行っており、抗セントロメア抗体は卵子の中に早い段階で侵入するため、プレドニゾロン(プレドニン)を飲んでも全く効果がないことも確認しています。当院にもそのような患者さまが何名かいらっしゃいましたが、正常な受精卵ができれば、年齢相当の妊娠率が出ることになります。

結果的には採卵を繰り返すことになるのではないかと思いますが、モモさんの場合は3回採卵して28個しか卵子が採れず、しかも正常な胚盤胞が1個しかできなかったとのことで、上述したように、調節卵巣刺激の仕方、胚盤胞到達率の低さ(=ラボのレベルの低さ)に問題があることが予想されます。きちんとした調節卵巣刺激をすることができ、胚盤胞到達率の高い施設への転院を考えた方が良いのかもしれません。
少なくとも、「プレドニンを飲んで良くなる」ということはありません。治療を休んでも、体質が変わるわけではありません。まずは転院を考えることが、モモさんにとって最良の方法であるとアドバイスしたいと思います。


 



[無料]気軽にご相談ください

お話を伺った先生のご紹介

浅田 義正 先生


名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の勝川、名古屋駅前のほか、昨年5月には東京・品川駅前にもクリニックを開院。

≫ 浅田レディースクリニック

image


あとで読む

この記事に関連する記事

この記事に関連する投稿

女性のためのジネコ推薦商品

最新記事一覧

Page
top