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心の玉手箱 Vol.1 「不妊治療、頑張り過ぎでしょうか?」

コラム 不妊治療

心の玉手箱 Vol.1 「不妊治療、頑張り過ぎでしょうか?」

不妊治療、頑張り過ぎでしょうか?

2015.1.22

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相談者

コキュ さん(29歳)


今の私の生活は子どもを授かることが中心です。立て続けに人工、顕微、移殖と治療を繰り返しているのに、頑張っても結果が出ないのは、私にも原因があるから?次は次はと自分を奮い立たせてきましたが、最近は気持ちをどこへ持っていっていいのかわかりません。




-- 男性不妊のため、人工授精から不妊治療をスタートしたコキュさん。人工授精連続10回を経て、顕微授精、胚移植と治療を続けながら、「自分は頑張り過ぎでは?」と、悩んでいらっしゃいます。


秀子先生: このケースが頑張り過ぎかと聞かれると、やっている人は結構いると思うんですよ。決してやったほうがいいという意味じゃなく。

ただ、何が頑張り過ぎかっていうと、人工授精したことによって、期待して、落ち込んで、さらにお金もかかって、というアップダウンを繰り返しているから、それに疲れる。つまり、自分が無理をしていると思っているからしんどいんです。

これが、同じように人工、顕微と繰り返していても、自分で納得して行け行けどんどんでやっていれば、こんな投稿内容にはならない。文面からは、こけそうなところを息も絶え絶えに先生についていっている感じね。自分で100%納得してついていっていないから疲れるの。コキュさんはおいくつでしたっけ?


-- 29歳ですね。


秀子先生: 29歳かぁ。まだ、若いんだし、私は30過ぎるまで一度休んでもいいと思うんだけどなぁ。でも、この方は30歳までに何とかしたい、なんてきっと思ってるはず(笑)。だから休んでも、宿題残して遊んでる、みたいな感覚になるんです。

疲れたら休んだらいいんです。まったく何もしなかったとしても、不妊治療など何もしないときと、いろいろやって疲れて、これだけやったら疲れるということを経験してからのお休み状態は明らかに違う。それが1ヶ月であろうと、半年であろうと、3年であろうと、コキュさんの場合は長すぎることはない。3年たっても32か33歳でしょ? ゆとりをもう一度自分の中に見い出すためにも、絶対に休むべき。何もせずに充電するための治療というのがあるんです。


-- 先生のお話は医学書に載っていることだけではなく、女性ならではの観点がユニークです。


秀子先生: 多分ね、男性はどうかわかりませんが、女性は感覚で自分の経験の中に何か置き換えないと心底わからない。料理であろうと、恋愛であろうと、自分が何十年だか生きてきた実体験の中で、「あ、なるほど」と思えてはじめて分かってくださることが多いの。「あ、あれと一緒じゃん」て、理解するのね。そのためにも、自分の中で消化吸収していくという作業が絶対必要でしょう。

当院には「禁足令」というのがありまして(笑)。「1ヶ月来たらダメ」とか、「○月まで来たらアカン」とか、私が決めるんです。休むに休めなくなっている人には、休憩できるように心のゆとりが必要だから。その代わり、笑顔で分かりましたと言ってもらえるまでお話しますよ。すると、1ヶ月、2ヶ月後に来られたときに、「ゆっくりできた? よっしゃ、ほな行こか?」と聞くと、「よし、やります!」と、たいてい充電できている。切羽詰まって自分からお休みしちゃう人もいるけれど、私は「とりあえず休む前に言ってね」とお願いしています。治療しながら卵巣を休ませるなど、お休みの仕方にもいろいろあるから。


-- なるほど。休むことでまた頑張れる。頑張り過ぎかどうかは、治療の内容ではないということですね。


秀子先生: そうね。このコキュさんの投稿を読んで、「私なんてもっとやってるわ」「何よこのくらい」なんて思う人もいるかもしれない。でも、その人との違いは、納得して治療を受けているかどうかだから。

私はうまくお休みに持っていってあげるのも、実は医者の役目なんだろうと思っています。治療方針に疑問を感じたら、勇気を出して医師に質問してみてほしい。食い下がるべきだと思う。何も言わないと納得してると思われちゃって、どんどん治療が先に進んでしまうなんてこともあるかもしれないから。自分で心底納得してはじめて、次のステージで頑張ることができるんです。



田村 秀子先生


京都府立医科大学卒業。同大学院終了後、京都第一赤十字病院に勤務。1991年、自ら不妊治療をして双子を出産したのを機に、義父の経営する田村産婦人科医院に勤め、1995年に不妊部門の現クリニックを開設。ご主人も産婦人科医で、「自宅でも会話の4割は仕事のこと」とか。繊細な感性を秘めた、大らかな人柄が魅力の先生。みずがめ座のA型。





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