ゆうち さん(42歳)
【不妊の原因:卵が採れない(少ない)】
○少し動くだけで汗が出る
○月経が乱れやすい
○眠れないことが多い
○肩こりや頭痛が慢性的にある
○のどが乾きやすい
○寝不足の日が多い
○下痢をしやすい
多くの情報に振り回されることなく自分自身の体調に向き合うことが大切
ゆうちさんが目指してこられた、基礎体温が整っていることや食事内容、冷えにより血行不良をおこさないことなどは、体づくりのポイントであるといえます。また、基礎体温はホルモン活動の目安として、活用できるものともいえます。
ただ、注意しなければならないのは、これらの条件は目安であり、正しいとか間違いという答えが明確なものではないという点です。「妊娠メカニズム」が最先端医療でも解明しきれないのは、まだまだ個人差やパートナーとの関係性により左右される要素が含まれているからだと思います。ですから、多くの情報に振り回されることなく自分自身の体調に向き合うことも大切です。
「体にいいこと」を始める前に「悪い状態」を解消することが先決
ゆうちさんの場合、前向きな努力を支える根本である「日常の体調」そのものに不安定さが見受けられます。例えば、睡眠の不足は、漢方的には「腎精」という卵の成熟やホルモン活動をつかさどる「生殖の力」の不足につながることが懸念されます。また、下痢など胃腸機能の不調は、食事や薬や栄養などの消化不十分につながります。慢性的な肩こり・頭痛などの原因としては血行不良や疲労、ストレスなど体全体におよぶものもあります。
「体にいいこと」を始める前に、まずは「悪い状態」を解消することです。そうすれば「いいこと」の効果がより得られると思います。
もしも、努力のわりに成果が上がりにくい状況であるなら、今一度普段の体調から妊娠を受け入れる準備を整えられることをおすすめします。良好な体調が続けば体質改善にもつながりますし、効率よく内臓機能が働くことも期待できます。
妊産婦向けに使用されてきた処方がたくさんあるので自分に合った漢方薬を
また、卵が採れないという状況だからこそ採卵の方法も医師としっかり相談して、最適な選択をすることも大切だと思います。採れない状態のまま同じことを繰り返しているだけでは、むしろ非効率となる場合もあるからです。
漢方薬などで体の状態を整えられるのも選択肢のひとつです。古来から漢方薬は妊産婦向けに使用されてきた処方がたくさんありますので、不妊治療の有無に関わらず服用可能なものが提案できます。漢方薬は経験が基本的概念になっていますので、しっかりと相談の上、自分に合ったものを服用されることが大切です。
かしたに 陽子先生
一陽館薬局代表。薬剤師。日本不妊カウンセリング学会認定・不妊カウンセラー。女性のための漢方相談の専門薬局として2004年一陽館薬局を開局。とくに、不妊に悩む女性たちの理解者として、妊娠力を高めるための漢方相談に加え、治療スケジュールの相談、カウンセリングを行っている。豊富な経験に裏付けられたノウハウが好評。
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