体重が重いのでダイエット中だけどほかにどのようなことをすればいい?
コラム 妊活
りえ さん(37歳)
【不妊の原因:不明】
○少し動くだけで汗が出る
○湯船にゆっくり浸かれない
○肩こりや頭痛が慢性的にある
○レバーのような経血の塊が出る
○頬が赤っぽい
○のぼせやほてりがある
○寝不足の日が多い
○太りやすい
胃腸の消化吸収を良くして血液量を増やし子宮、卵巣に十分な栄養を与えることが必要
肥満は妊娠をしづらくする一因ですが、心血管病、糖尿病の原因にもなります。ダイエットでは炭水化物・蛋白質・脂肪を極端に減らして、体重を落とすことは禁忌です。これらの摂取量が少なくなると血糖値が下がりすぎてエネルギー不足となり、貧血の原因になり、月経にも影響がおよびます。BMIが25以上ならば、和食中心に切り替えてください。さらに脂肪燃焼を促す運動療法を行うことが基本です。
胃腸の働きが悪く、消化吸収能力が低下し余分な水分廃棄物がたまるのが肥満の原因
中医学では肥満の原因は、生まれつきの胃腸虚弱、食べ過ぎなどの飲食不節制、精神的ストレス、オーバーワークなどで「湿熱痰飲気滞血お」が内生することによると考えています。具体的には、胃腸の働きが悪く、消化吸収能力が低下し、余分な水分廃棄物がたまり、むくみ、水太り、だるい、めまい、吐き気などを生じます。
栄養を吸収できずエネルギーが不足し、血液不足で貧血やめまいが生じる場合は「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」、「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」などの漢方薬が有効です。またエネルギー不足で元気不足、動くと汗が出たり、体がだるくなる症状には「麦味参(ばくみさん)」、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」、「衛益顆粒(えいえきかりゅう)」。血液不足により肝血が不足し、体の陰分が不足して熱を押さえることができず、顔・頬が赤くなる症状には「杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)」。湯に入ると熱が頭に昇り、のぼせが生じ、湯船にゆっくり浸かれない症状には、「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」、「杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)」。血陰が不足するので高齢とともに腎に影響し、「肝腎陰虚」となり耳鳴りも生じた場合は、「耳鳴丸(じめいがん)」を。
胃腸の消化吸収が弱いと血が不足して脳にも栄養がめぐらず不眠に。その場合は「帰脾湯(きひとう)」、「酸棗仁湯(さんそうにんとう)」。不眠動悸の症状には「天王補心丹(てんのうほしんたん)」、「酸棗仁湯(さんそうにんとう)」を。
血流がとどこおり子宮や卵巣の環境が悪いなどの肥満が原因の諸症状に漢方薬を試してみる
更年期に入ると、同じくのぼせ・ほてり・寝汗・不眠・動悸などが出現します。水分老廃物によって血液の流れがとどこおり、肩こりや頭痛となった場合には、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」、「逍遥丸(しょうようがん)」、「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」、「半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)」、「温胆湯(うんたんとう)」を用います。月経は血液がとどこおり排泄されず、子宮や卵巣の環境が悪くなり、卵の育ちも今一歩になります。つまり、胃腸の消化吸収を良くして血液量を増やし、体のすみずみまで、とくに子宮、卵巣に十分な栄養を与えることが必要となります。
佐々木 弘隆先生
国際中医専門員(国際中医師)学会認定不妊カウンセラー。中国南京中医薬大学病院にて周期療法の大家である国医大師、夏桂成教授のもとで研修。さらに山東省、成都、西安の各大学病院にて研鑽を積む。本来備わっている「妊娠する力」を高める手助けを行っている。