夫が乏精子症で「補中益気湯」を服用中。ほかにおすすめの漢方薬は?疲れやすい私の対策法は?
コラム 不妊治療
相談者
ぬーつち さん(30歳)
【不妊の原因:男性不妊】
○なんだか疲れやすい
○朝、起きることができない
○冷え性である
○月経前になると乳房や下腹部が張る
○イライラをため込みやすい
○気分によって食欲にムラがある
○めまいや立ちくらみがよくある
○目がかすんだり疲れる
○顔や唇の色が黒ずんでいる
○顔にシミやクマが出やすい
○肩こりや頭痛が慢性的にある
○レバーのような経血の塊がでる
○手足がいつも冷たい
○とくにおなかや下半身が冷える
○体が重く、いつもだるい
○むくみやすい
○口の中がよく粘つく
○いつも眠い
男性不妊の改善でさらなる効果を望むなら「鹿茸」や「海馬」など動物生薬の漢方処方を
男性も女性も脳にある視床下部から命令を受けて精巣や卵巣が働きます。その働きは複雑ですが、男性不妊の場合9割ほどが精子に問題がある「造精機能障害(乏精子症・精子無力症など)」といわれます。
漢方の五行説で考えると、「精(性)」に関わるものは「腎(腎臓ではなく内分泌や生殖などを合せた広い概念)」と結びつきが強く、「腎」は「肺」や「脾」から強く影響を受けます。
自然界に例えると、「脾」は土壌、「腎」は種、「肺」は大気です。服用中の「補中益気湯」は精子機能を改善する作用がありますが、「脾( 土壌)」の処方です。より直接的に改善を望む場合は、「腎( 種)」を補う処方を検討します。ご主人の体質を検討する必要がありますが、「八味地黄丸」、「杞菊地黄丸」、「瀉火補腎丸」などの処方があります。さらなる効果を期待する場合、「鹿茸」や「海か い馬ば」など動物生薬の漢方処方を使います。
造精機能障害は虚弱体質だけでなくがっちりタイプにも
造精機能障害は体質的に虚弱の方が大半と思われがちですが、がっちりとしたタイプにも見られます。がっちりタイプは補うばかりでなく不要なものを捨てる処方が大切。そのほかのタイプもあり、それぞれに処方は違います。
○がっちりタイプ
仕事はバリバリこなす。こってり・味の濃い食事を好む。最近イライラすることが多い。寝るのが遅く朝は疲れが取れていない。
○のぼせ火照りタイプ
口が渇くが飲み物をそれほど欲しくない。手足が火照り、便秘気味。
○体力低下で疲れやすいタイプ
無気力、息切れ、動悸などがたまにある。体が弱いタイプで「疲れた!」が口癖
男性不妊の場合は奥様のサポートが大切
男性不妊の場合、最初奥様と来店されたご主人のほとんどが「実感が持てない」とつぶやきます。女性は月経周期・基礎体温や月経痛などで、ある程度は体調を察知できますが、男性は精子の状態を目で見て判別はできないので実感が持てないのです。状況を改善するには、ご主人が前向きになって奥様と共に食生活・睡眠・煙草などの生活習慣の改善を継続することが大切です。地道に努力した結果、乏精子症と診断されても数値が改善する方もいます。
奥様は体質チェックから典型的な「虚証」と判断します。漢方での体質改善をおすすめします。ご主人と一緒に相談されるとよいかと思います。
福田 優基先生
東大阪市で開業して30数年になる福田漢方薬局の二代目。大阪薬科大学を卒業し高知漢法堂薬局を経て、福田漢方薬局で健康相談を担当。自身の経験から不妊症にも力を入れる。日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー。
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