赤ちゃんもママも元気に!出産後の過ごし方(1)
もうすぐ生まれる赤ちゃん!お腹が大きくなってきて、そろそろ出産後の準備も整えたい時期ですね。出産後のママの体はとってもデリケート。ママも赤ちゃんも大切な時期を元気に過ごすポイントを押さえましょう。
産後1カ月間は子宮が正常に戻る過渡期。まだ体は本調子ではないので注意して生活しましょう
Q. 里帰り出産をしますか?
出産後、里帰りしない、またはしなかった人が約半数もいらっしゃいます。家庭や実家の事情などもありますが、自宅でマイペースに子育てをしたい、という方が増えているのは間違いないようです。
Q. 出産後に職場復帰する予定はありますか?
約半数近くの方が出産後も、なにかしら働きたいと思っているよう。3割の方は職場復帰するとのことで、これからの子育てと仕事の両立などを具体的に考える必要もあります。出産後の生活を充実したものにしたいですね。(※ジネコユーザー132人に2012年2月にアンケートを実施)
「出産は病気じゃないし、赤ちゃんを産んだあとは、そのうち普通の体に戻る」と思っていませんか。正常分娩の場合は、出産してからだいたい1週間で退院しますが、自宅に戻れるからといっても体はまだ本調子ではありません。実は、出産してから1カ月検診までの母体は、いろいろな面で不安定なのです。妊婦さんとほとんど変わらない状態だと思ってください。
赤ちゃんのベッドとなる子宮は、妊娠していない時は鶏卵くらいの大きさですが、生まれる直前は直径35㎝くらいまで大きくなり、みぞおちの高さくらいまで膨張します。出産して約1週間後、ちょうど退院する頃にはおへその高さくらいまでに収縮。そこから1カ月ほどかけて、通常の大きさに戻っていきます。
このように、産後の1カ月間は子宮の状態が正常に戻っていく過渡期。完全に戻っていないと、「産褥熱(さんじょくねつ)」といわれる熱が出やすくなったり、免疫力が低下して感染を起こしやすくなります。
分娩が終わると、しばらく「悪露(おろ)」と呼ばれる腟からの出血がありますが、これも1カ月ほど続いた後、なくなっていきます。産後1カ月間は、信号でいえば黄色から青色に変わる時期。危険な状態ではありませんが、まだ本調子ではなく、注意が必要です。
お母さんも赤ちゃんもこの時期、不要な外出は避けること
では、どのようなことに気をつければいいのでしょうか。
まず、外出ですが、日常の買い物などは体調をみながら徐々にやっていけば問題はありません。旅行は体に負担がかかるので、できればこの期間は避けたほうがいいですね。温泉やスーパー銭湯もおすすめできません。自宅のお風呂は入っても問題ありませんが、不特定多数の人が入浴する場所だと、ウイルスなどに感染する心配があります。
赤ちゃんも、産後しばらくはまだ免疫力が高くないので、お母さんと同様に菌やウイルスに感染しやすい状態です。「自宅に帰ったら、お散歩に連れて行きたい」と思われるかもしれませんが、すぐに外気にさらしたり、人混みに連れて行くことは避けましょう。「公園デビューは産後1カ月が過ぎてから」と思っていただくといいですね。
それから、ご主人との性生活ですが、これも産後1カ月を過ぎてから。分娩時に会陰切開をしている場合は、性行為により傷が開いてしまったり、感染しやすくなってしまっています。1カ月を過ぎれば通常の夫婦生活を送っても支障ありませんので、それまではご主人にも理解してもらうようにしましょう。
一番問題なのは、出産を機に夫婦生活を避けるようになり、その後もセックスレスになってしまうというケースです。ご夫婦の愛を確認する手段は挿入行為だけではありません。産後だからといって触れ合いを拒むのではなく、一緒にお風呂に入ったり、手をつなぐなどして、スキンシップは忘れないようにしていただきたいですね。
軽い運動やマッサージでむくみを予防しましょう
その他の生活習慣について、よく取りあげられるのが喫煙と飲酒。健康を考えたらどんな場合でもタバコはよくありませんが、授乳中は特に禁忌です。アルコールに関しては、過度な飲酒は避けてください。気分転換で週1回程度、適量を摂るというような飲み方なら問題はないかと思います。
食事については、妊娠中に太ってしまい、体型が気になるという方もいるかもしれませんが、授乳中は赤ちゃんに栄養を与えなければいけないので、ダイエットはおすすめできません。かといって、食べ過ぎるのも健康のためによくないこと。肥満が気になる方は、豆腐や納豆など植物性のタンパク質を中心に、お菓子などの間食は控えるようにしましょう。
また、注意期間ではありますが、横になって安静にしているばかりではなく、適度な運動も必要です。血液の流れが正常に戻るまで少し時間がかかるので、産後は足がむくみやすくなります。妊娠中ほどではありませんが、血流が滞り、血栓症などを引き起こしやすい状態に。ジョギングやエアロビクスなどの激しい運動はよくありませんが、軽いストレッチやマッサージをしたり、むくみ防止の靴下をはくなどして、血流を促すといいでしょう。
柏崎 祐士先生
日本産科婦人科学会認定医。日本生殖医学会生殖医療専門医。埼玉県さいたま市大宮区で開院して40年余り、これまで1万人近くの分娩を取り扱ってきた「かしわざき産婦人科」同院では、母と子の安全を最優先と考え、できるだけ自然なお産を心がけている。出産後は母子別室というのも同院の特徴。回復期間でもある入院中は母体をしっかり休め、退院後、元気に子育てができるようにサポートしている。
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