周期療法を始めて5か月経って排卵がなくなったけど続けていていいの?
コラム 不妊治療
rikopin さん(39歳)
34歳で結婚し1年経っても妊娠しないため、不妊治療をし2か月で妊娠しました。その後二人目と思っても妊娠しないので
再び不妊治療を行いました。4周期目のチェックで卵が育っていなかったため、排卵誘発剤などの治療に卵巣が疲れているのではと思い、治療をやめて漢方の周期療法を試しています。現在服用5か月目ですが、血流が良くなり、排卵やおりものもあったのに、4、5か月目は排卵がないのです。その間風邪をひき体調を崩しましたが、2か月も排卵がなくて不安です。使用している漢方は、イスクラの婦宝当帰膠、冠元顆粒、逍遙丸、杞菊地黄丸、参茸補血丸です。何故こうなったのか心配です。
刺激に反応しないほど疲れている卵巣を整えるには、少なくとも半年以上かかる
周期調節法で頑張っているのに排卵しないので不安になっているのですね。ご存じかと思いますが、周期調節法は月経周期に合わせて漢方を飲み分ける方法です。周期は月経期、卵胞期、排卵期、高温期の4期に分かれます。周期調節法は本人体質や状況にあった漢方を月経周期に合わせて飲むことで妊娠しやすい体作りをするのですが、rikopin さんは出産後、年齢によって妊娠率が下がることをご存知できちんと早めに対応してみえます。
4周期目で卵が育たなくなったのは不妊治療で卵巣が疲れているしるし
不妊治療の4周期目で卵が育たなくなったとのこと。これは排卵誘発剤で卵が育つ刺激をしても反応しなくなってきた、つまり卵巣が疲れているしるしです。卵巣の疲れは体調不良も影響します。漢方的に言うと、外からの影響として六淫(風、寒、暑、湿、燥、火)、体の中の原因として六鬱(気鬱、血鬱、火鬱、食鬱、痰鬱、湿鬱)があります。それぞれの原因によって漢方の治療法も違います。また、それ以外に体にとって必要な物が不足している場合が考えられます、気(エネルギー)、 血、陰(潤い)、陽(温める力)の不足も考えられます。これらの症状を総合して漢方薬を選んでいきます。
漢方で体質改善している間に体調不良になると体調を戻す方にエネルギーは使われてしまう
卵胞が膨らみ初めて排卵するまでに少なくとも半年以上かかります。つまり刺激をしても反応しにくくなるくらい疲れている卵巣を整えるには、少なくとも半年以上かかるし、その期間に体調不良などがあると、どうしても卵巣より体調を戻す方にエネルギーは使われますから卵巣にも影響がでやすいのです。今飲まれている漢方で排卵しなくなることはちょっと考えにくいと思います。3か月目でおりものがあるようになり、体温のグラフもまずまずになってきたという変化を感じたのなら良いきざしと考えて、毎日の体調管理(睡眠、ストレス、食生活など)に気を使いながら漢方を続けてみたらどうでしょうか。ただし、排卵しなくなった原因については、FSH、LH、E2などのホルモン数値を確認してみることをおすすめします。周期調節法をする場合、体質、基礎体温表、状況に加えて、ホルモン数値も参考にするので、ホルモン数値の確認はとても参考になるからです。
深谷 幹子先生
湖北民族大学客員教授。薬剤師。妊娠授乳サポート薬剤師。2012年 妊娠出産報告数130名。周期調節法の第一人者夏教授、男性不妊専門病院曹先生の元で外来研修を受ける。妊娠出産に向け母体の健康維持も考えながら行う身体にあったアドバイスと漢方処方には定評がある。