月経周期が不安定でクロミッドを使用しています。漢方薬で改善できますか?
コラム 不妊治療
相談者
ハルカ さん(39歳)
いつ排卵したかがわかりにくく、月経周期が不安定で早まったり遅れたりして、月経がくるたびに落ち込みます。排卵誘発
剤のクロミッドを使用しなければ、低温期が長くて高温期が低めになります。このような体質を漢方で改善することは可能で
しょうか?
○低温期が長い
○周期が比較的長め(40日以上)
○周期が不安定で早まったり遅れたりする
○低温期から高温期への移行に時間がかかる(階段式の上昇)
○高温期に体温が低くなる日が多く不安定
○月経前は普段の便秘がさらに強くなる
血の質が改善されると不安定な月経周期や基礎体温が安定し妊娠可能な体に変化する
漢方治療の基本は体のバランスを整えることです。それを漢方的な言葉を使って表現すれば、体の「気・血・水」の流れを整えるとか、「肝・腎・脾・肺・心」のバランスを整えるとなります。つまり「血の流れを整え、血の質を良くする」治療と言い換えられるでしょう。
漢方治療はある程度の継続が必要だが3か月くらいで変化を体感する人が多い
治療を行うには現在の体の状態を詳しく把握する必要があるため、最初に問診で患者さんの話を詳しくうかがって、体のおおよその状態を把握します。次に脈診、舌診、腹診など、漢方特有の診察方法を行い、患者さんに合った漢方薬を処方します。漢方の不妊治療はある程度継続しなければ結果は望めません。当院には自然妊娠を目指す方はもちろん、体外受精を何度試みても妊娠しないので、体外受精の治療に併せて漢方も試したいという方まで幅広く来院されます。漢方治療を開始すると、月経痛が軽くなった、痛み止めを服用しないで済んだ、経血の色が鮮やかになった、月経前症候群の症状が軽くなった、腹部、腰部の冷えが改善されてきたなどの変化を、多くの方が3か月程度で体感されます。ハルカさんも漢方治療で血の質と流れを改善すれば、悩んでいる不安定な月経周期や基礎体温も安定してくるようになります。
漢方薬との相互作用を高めるために鍼灸治療の併用も行なう
漢方の治療はある程度時間がかかるとはいえ、何らかの体感がないと効果があるのか不安になり、治療を継続するのが難しくなるのではないでしょうか。ほとんどの方が半年以上経過してくると、基礎体温の形がまとまってくる傾向にあります。そうなれば、妊娠可能な体に変化してきたと考えていいでしょう。どの程度で妊娠するかはその方の体の状況で違いますが、自然妊娠の場合は意外に早く、漢方治療を始めて3か月~6か月程度で妊娠される方が多くみられます。体外受精の場合は、6か月~1年程度の期間が必要なケースが経験上多いと言えます。さらに体外受精は移植時と移植以降など、時期によって処方を細かく変更して成功率の向上を目指します。また、当院では相互作用を高めるために、希望者には漢方薬と鍼灸治療の併用を行っています。
細野 孝郎先生
1988年北里大学医学部卒業。日本東洋医学会認定医。日本臨床抗老化医学会名誉認定医。北里大学にて膠原病やリウマチ治療にたずさわり、漢方外来設立に尽力。1992年より細野診療所でも診療を開始。現在は婦人家系疾患、不妊症の治療に力を入れている。
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