Q:初期流産の兆候について教えて下さい。
A:流産の症状としては出血があります。自然流産の場合は、それから1週間くらいすると胎児の袋が出てくることが多いです。(白山レディースクリニック院長 中村 久基先生)
胎嚢が見えると「妊娠」と判定されますが、この時点ではまだ2割ぐらいの確率で流産が起こります。この時期の流産のほとんどは、胎児がうまく育たないことが原因ですが、これは誰にでも起こりうることです。受精した時点でなんらかの原因があり、なんとか生きながらえて胎嚢を作るまで至ったけれど、それ以降は育たず流産になってしまうと考えられています。ですから、胎嚢が確認できても、まだ不確実な状態だと心に留めておいていただくのが重要です。
流産の症状としては出血があります。自然流産の場合は、それから1週間くらいすると胎児の袋が出てくることが多いです。しかし、正常な妊娠経過でも出血はよくあるのであせらずかかりつけの産婦人科を受診し、胎児の発育が順調かをみてもらってください。その他、つわりが突然なくなった時や、基礎体温が下がってきた時も流産の可能性がありますが、これも超音波で診察してもらうことが大切です。
10週頃までにもし流産が起こってしまったら、それは受精した時からそうなる運命だったということ。悲しいことではありますが、誰にでも起こり得ることであり、次の妊娠は問題ないことがほとんどです。
心拍が確認されると、流産の心配がぐっと減り、数%くらいになります。ここまでくればだいぶ安心できます。当院では頭殿長(頭のてっぺんからお尻までの長さ)が2cm位になったら、母子手帳をもらいに行ってもらうようにしています。頭殿長が3cmまで大きくなれば、胎児要因の流産の可能性を心配する必要はないでしょう。
中村 久基(なかむら ひさき)先生
白山レディースクリニック院長
信州大学医学部卒業、東京大学産婦人科医局入局。NTT東日本関東病院、長野県立こども病院総合周産期母子医療センター、東京警察病院などに勤務。2012年文京区に白山レディースクリニック開院。妊婦健診や4D超音波、不妊治療、がん検診、ホルモン治療などきめ細やかな医療を提供し、女性のトータルライフをサポートしている。