野田聖子・小渕優子スペシャル対談1 ┃ 野田聖子・小渕優子スペシャル対談2 ┃ 野田聖子・小渕優子スペシャル対談3
野田:残念ながら、プライオリティ(優先順位)が低いということなのでしょう。民主党を批判するわけではないのですが、政権が変わってから5ヶ月以上が過ぎた段階で、準備すら始めていないというのは、不妊治療をしている人たちの心を弄んでいるように思われても仕方がないように思います。
小渕:不妊治療をしている患者さんたちは、タイムリミットという切実な現状に立たされているので、そのことを考えても、誠意が足りないように感じてしまいますよね。
子ども手当と不妊治療、どちらが少子化対策か?
小渕さんは、大臣でいらっしゃったときに不妊治療を少子化問題の一環として捉えるよう働きかけをしてくださいました
小渕:不妊治療を少子化問題の一環として考え、10万円だった助成金を15万円に予算を組み替えました。そのとき、不妊治療の問題を扱っている人から「私たちは国のために不妊治療をしているのではない」と反対され、本当にデリケートで難しい問題だと痛感したのを覚えています。
でも、世の中の景気が悪くなってきた時期でしたし、経済的な理由だけで治療を諦めてほしくなかったので、助成金を増やしました。
野田:段階的であったとしても、助成金は一時的なものではなく、恒久的でないと意味がありませんよね。
小渕:おっしゃる通りです。それに、回数や期間の制限、システムの複雑さなどについて、もっと議論を詰める必要がありました。そのことも踏まえて、福島大臣にバトンタッチをしたのですが、ここまでやってきたことをゼロに戻すようなことは、なんとしても避けたいですね。
野田:対策とは、今いる子どもを育てることではなく、子どもを増やすことなのです。
日本は、家を重視する文化なので、結婚をしていないと子どもが産みにくい環境ですよね。ですから、結婚制度を見直し子どもを産む環境を整えていくことや、不妊に対して医療的にサポートをしていくことが、少子化対策の原点だと思うのです。
小渕:確かに、その通りだと思います。たとえば、私には今、2人の子どもがいますから、子ども手当は5万2千円いただけるわけですが、だからといって3人目を産みましょうとは考えません。それとこれとは、別問題ですよね。
野田:あるアンケートで、約7割の人が「子ども手当をもらったら、貯金する」と答えたそうです。果たして、子ども手当が少子化対策につながるのかどうか……。
小渕:大臣をしていたときに感じたのですが、少子化問題は発信の仕方がとても難しい。子育て中の女性や、これから子どもを産もうと考えている当事者は切実な問題として捉えているのですが、年配の方や男性たちには「自分とは関係ない」という雰囲気がありました。でも、少子化問題は国の課題です。誰もが自分の問題として捉え、できることに取り組んでいかないといけません。そのためには、意識改革が必要で、子どもは国の宝だから、子どもを育てる環境をみんなで作っていくという意識が大切だと思うのです。
野田:不妊治療も、性別を問わず、あらゆる年代の方に理解を持っていただく必要がありますよね。
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