知っておきたい!日本の伝統&
年末年始
多くの伝統的な行事が忘れられていくなか、年末から年始にかけての行事は今も多くの人に受け継がれています。
でも意外と本来の意味や決まりは知られていないのでは?この機会に正しい知識とマナーを身につけましょう。
年末編
年末は、新年に年神様を迎えるための準備の時期
私たち日本人は、年に回ご先祖様をお迎えしています。1回は仏教と結びついているお盆、そしてもう1回は神道と結びついているお正月です。ご先祖様を迎えるというのは、新しい年神様をお迎えするということ。年末は年神様をお迎えするための準備をする時期です。昔は12月13日から「お正月ことはじめ」といい、お正月の準備を始めていました。しかし最近はその前にクリスマスという大きなイベントがあるので、26日からが本格的な新年の準備期間になっています。
年神様をお迎えするためにまずすること、それが大掃除です。家を掃除して、清めてきれいになったという証しがしめ飾りです。そして年神様が降りてくる時に目印にするのが門松。27、28日頃に飾るのが一般的です。
お歳暮は下から上の人へ一年間の感謝の気持ち
お歳暮はご先祖様への感謝の気持ちが、親やお世話になった人に広がっていったものです。だからお歳暮は下のものから目上の方への贈り物です。気持ちですから背伸びをせず、身の丈に合った金額の物を贈ります。今は3000円くらいが目安でしょう。
贈るものは、もともとはご先祖様へのお供えなので食べ物が多いのですが、その方の好きなものでOKです。またお正月に必要なものも喜ばれます。12月初めから20日頃に届けるのが一般的ですが、「12月半ば頃に『お正月に使っていただきたいと思い、30日に数の子をお送りします』と連絡しておいて贈るのもいい」と岩下先生はおっしゃいます。
「受け取る方はお正月用に買わなくて済みますよね。ある日突然来るのもうれしいけど、予告があるのもワクワクしてうれしいものですよ」(岩下先生)
監修 岩下宣子 先生 現代礼法研究所代表兼マナーデザイナー。 全日本作法会の内田宗輝先生、小笠原流小笠原清信先生に師事し、マナーを学ぶ。 お茶の水女子大学の森下はるみ教授より動作学を学ぶ。 企業・学校での研修指導、講演、TV出演など幅広く活躍中。 『好感度がアップする美しいマナー』(幻冬舎)他、著書多数。 |
新しいものを一つ用意すると 新しい年に向けてけじめがつきます
12月は仕事も忙しいし、お歳暮を贈って、年賀状を書いて……。毎年、あっという間に年末が来てしまい、お正月の準備がままならないという人も多いのではないでしょうか?普段の掃除がやっとで、大掃除までとても手が回らないという人のために、岩下先生に掃除のポイントを教えていただきました。
「忙しくてなかなか家中の大掃除ができない時は、お正月にみんなが集まる場所、リビングならリビングだけでもきれいにしておくといいですね。おせちを食べたり、おとそを飲んだり、お祝いする場所だけはきれいにしておきましょう」なかなかゆっくりしたおごそかな気持ちでお正月を迎えられないという人にもアドバイスをいただきました。
「お正月に何か一つ、新しいものをおろすといいですよ。昔は1年間我慢して、お正月に全部新しいものに替えたものです。新しい年に新しいものというのは、新鮮な気持ちになります。靴下、歯ブラシ、下着、なにか新しいものを元旦の朝におろすと、けじめがつきます。形から入ることで心がともなってきますよ」
すぐにお悔やみの返事を出しましょう。年内に送れない場合は、1月8日~2月3日頃に寒中見舞いとして出します。また知らずに年賀状を出してしまった場合、すぐにお詫びの書状を出します。 | カードをもらうのは「おはよう」の挨拶と一緒。すぐにハガキで「ありがとう」と伝えるか、電話で感想とともにお礼の気持ちを伝えるといいでしょう。自分がされたら嬉しいことを考えて、相手にもするようにしましょう。 | お歳暮は日頃の感謝の気持ちをお礼として渡すものなので、基本的にお礼のお礼は不要です。いただいたら受け取ったことの報告を兼ねて、できるだけ早くお礼状を送りましょう。親しい方には電話でもいいでしょう。 |
年越し蕎麦は「細く長く生きられるように」という願いから。また金を扱う職人が、散らばった金を丸めたそば粉で集めたことから、「そばから金が入ってくる」ともいわれています。夕食にしても紅白を見ながらでもOK。 | 正月飾りは28日までにするのが習わし。29日は「苦松」「苦立て」といって嫌います。お餅もつきません。また31日は「一夜飾り(葬式の飾り)」といって、縁起が良くないとされています。 |
年賀状の正しい書き方
Q 宛名の「様」と「殿」はどう使い分ける?
A 「殿」は鎌倉時代にできた歴史的に古い呼び方で、本来は建物を表すものでした。以前、官庁が郵便物に「殿」を使ったことで、上から下への呼び方として認識されるようになりましたが、今ではあまり使われなくなりました。年賀状は「様」を使いましょう。また恩師には、「先生」とするほうがいいでしょう。
Q 連名で出す時の「様」や、「御中」の使い方は?
A 宛名を連名にする時は、必ずそれぞれに「様」をつけましょう。二人の名前の間に「様」を一つというのは絶対だめ。また勤務先に出す場合、「○○会社御中 □□様」と書く人がいますが、それは間違いです。「御中」は名前がわからない場合に使うものなので、「○○会社 □□様」でいいのです。
Q 冒頭の挨拶はどう書くのが正しい?
A 「新年明けましておめでとう」と書く人が意外と多いですが、“明ける”は“終わる”という意味。「新年おめでとう」か「明けましておめでとう」が正しい使い方です。また「迎春」「新春」など二文字は軽いので、同じ年か年下の人に使います。目上の人には「謹賀新年」「恭賀新年」などを使いましょう。