知れば知るほど奥深い
だし
良質なだし素材を選んでも、
だしの取り方を間違えたら台なしです。
板前さんが〝命”と呼ぶ「だし取り」。
プロの技を紹介します。
こんぶとかつお節の合わせだし
だしは地方によって好みが異なりますが、もっとも一般的に利用されるのが、こんぶとかつお節の合わせだしです。
こんぶのうまみ成分、グルタミン酸と、かつお節のうまみ成分、イノシン酸が合わさると、うまみがぐんと増えることから、インパクトのあるおいしさが引き出せます。
どんな料理にも利用できるので、家庭料理でもこのだしを基本にするのがおすすめです。こんぶもかつお節も、低い温度から加えること、そして強火で煮込まないことが、
うまみを引き出すポイントです。
こんぶは洗わずに乾いた布で軽く汚れを拭く。 point こんぶの表面の白い粉は、うまみ成分のグルタミン酸です。絶対に洗い流さないように! 早くやわらかくなるように、とこんぶに切り込みを入れる人がいますが、これはダメ。ぬめりが出やすくなってしまうので。鍋に入るサイズにカットしたら、そのまま使います。 | 鍋にこんぶを入れ、水を加えて弱火にかける。 | 沸騰する直前で。こんぶを取り出す。こんぶだしとして利用する場合は、ここでストップ。 point 70℃を超すと、こんぶのぬめりが出やすくなるので、必ず沸騰直前に取り出して。 |
こんぶを取り出したら、一度鍋を火からおろし、水1カップを注いでだし汁の温度を下げる。かつお節のみのだしを取る場合は、水を火にかけ、一度煮立てた後、合わせだしと同様に水を加えて湯温を下げる。 point かつお節も低めの温度からゆっくりうまみを抽出するのが基本。 | 火を止めた状態でかつお節を加える。 | かつお節が自然に沈むまで待つ。 |
かつお節が沈んだら中火にかけ、一煮立ちさせる。 point ぐらぐらっと煮たった瞬間に、火を止めて。良質なかつお節ほど、沸騰させると風味が飛びやすくなります。 | 金ざるに一度ぬらして固く絞った布巾をかぶせ、7を流しこんで漉す。 | プロの技 こんぶは低温の水に浸し、ゆっくり時間をかけてやわらかくすると、純粋なうまみ成分が抽出できます。プロの料理人は、前日の夜から水に浸し、使う際に火にかけ、沸騰する前にこんぶを取り出します。この方法だと、きれいに澄んだ、あっさりした味のだしが取れます。 |
いりこだし
カタクチイワシを煮て干したものがいりこです。味、香りともに強いだしが取れ、関西方面で特に好まれるだしです。苦味やえぐみのもとになる頭とはらわたを
丁寧に取り除くと、おいしだしが摂れます。いりこは、背が黒く、腹との境がくっきりしたものが新鮮。腹が黄色くなっているのは、古くなって油焼けしたものです。
いりこは、頭を取り、腹を割って黒い部分を取り除く。黒い部分がはらわた。頭をちぎるときにそっと引き抜くと、同時にはらわたが取れることもある。 point 純粋なおいしさを引き出すためには、面倒でも頭とはらわたを取り除く作業をすることが大切。朝など時間のないときは、前の晩にこの作業をしておくのがおすすめです。 | 鍋にいりこを入れて水を加え、いりこが自然に沈むまで待つ。 | 鍋を中火にかけ、アクが浮いてきたら丁寧に取り除く。 |
沸騰してきたら、すぐに火を止める。みそ汁を作るときは、いりこを取り除き、再び火にかけて一度沸騰させ、弱火にしてからみそを加え、沸騰直前に火を止める。 point いりこだしの場合も、煮立てないことが大切です。煮立てるとえぐみが出やすくなり、魚臭くなってしまうので気をつけて。 | プロの技 こんぶと同様、いりこも水だけでだしを取ることができます。これを水だしといい、澄んだ味わいのおいしいだしになります。前の晩から水に浸しておけば、朝の準備もラク。夏は冷蔵庫に入れて。 |
シイタケだし
シイタケをはじめとするきのこ類には、うまみ成分のグアニル酸が含まれていますが、特にシイタケはその量が豊富です。だしを取るためだけに利用することは
少なく、干しシイタケを煮物などに利用するときに、戻した汁にこんぶやかつお節を加えてだしとして使います。独特の香りと風味は、料理に個性的な味わいを
添えてくれます。
ボウルに水を入れ、干しシイタケは洗わず、刷毛などで汚れを落として加える。小皿などを落としぶたにして、シイタケがちゃんと水に浸るようにする。 point シイタケは軸の部分にもちゃんとうまみ、風味があります。軸を取り除かないように。料理する際も、カサの部分とは違う食感が楽しめるので、ぜひ利用して。 | ラップをして、冷蔵庫でひと晩ねかせる。使うときに、金ざるに一度ぬらして固く絞った布巾をかぶせ、だし汁を流し入れて漉す。 point シイタケだしは、特に温度を低くして、ゆっくりとうまみを抽出させます。室温ではなく、冷蔵庫に入れるのがおすすめ。 |
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