生理の出血量が多い原因【これって婦人病のサイン!?】
コラム くらし
生理の出血量が多い原因【これって婦人病のサイン!?】
「日常生活で感じるちょっとした症状から、婦人科系の病気の可能性を探る〈これって婦人病のサイン!?〉のコーナー。 今回は、生理の出血量(経血)が増える原因や注意が必要な経血量の目安、考えられる病気について、都立レディースクリニックの品川寿弥先生にお聞きしました。 最近「多いな……」と感じている人はぜひチェックしてくださいね。
生理の出血量が多い原因【これって婦人病のサイン!?】
2017/3/13 品川寿弥(都立大レディースクリニック)
今回は、生理の出血量(経血)が増える原因や注意が必要な経血量の目安、考えられる病気について、都立レディースクリニックの品川寿弥先生にお聞きしました。
最近「多いな……」と感じている人はぜひチェックしてくださいね。
昼でも夜用ナプキンを使うのであれば過多月経
経血量が異常に多い状態を「過多月経」、反対に、異常に少ない状態を「過少月経」と言います。しかし、経血量については明確な客観的基準はありません。人と比べることもできないため自己判断も難しいですよね。
患者さんには、次のような症状がみられたら、過多月経の判断の目安としてくださいと伝えています。
・うめぼし大の血液のかたまりが混じっている
・夜用ナプキンを昼間でも使う必要がある
・夜は2回くらい夜用ナプキンを替えている
また、過多月経が続くと貧血になることがあり、顔色不良、めまい、息切れなどの症状が現れます。
原因が子宮にある場合は、病気発症とともに症状が現れ、その進行にともない出血量が増えていくことがあるので、前月より血量が多い場合も一つの目安になります。また、出血だけでなく、生理痛が以前よりも激しくなり、鎮痛剤が増えたり、寝込むほどの場合は子宮系の疾患を疑ったほうが良いでしょう。
過多月経の主な原因は子宮内膜症、子宮筋腫
過多月経は大きく2種類にわけられます。
1.機能性過多月経
通常の身体調節機構が失調して起こる、ホルモンバランスの崩れが原因によるもの
2.器質性過多月経
子宮筋腫、子宮内膜症、子宮内膜ポリープ、子宮腺筋症など、主に子宮の病気が原因によるもの
一方、過少月経にも器質性と機能性によるものがありますが、その多くが機能性が原因です。女性ホルモンの分泌不全によるものや排卵障害、黄体機能不全が考えられ、いずれも妊娠の妨げになります。
過多月経の治療法はいろいろ。はやいほど選択の幅も広がる
機能性過多月経であれば、ホルモン剤や排卵誘発剤、ピルなどの薬物療法を行います。
<機能性過多月経の主な治療法>
偽閉経療法…薬を服用し、一時的に生理をなくす
低容量ピル・超低容量ピル…子宮内膜を退縮させ、月経血量を減らす
子宮内薬物付加リングを使った治療法…子宮内リング(ミレーナ)を子宮に挿入する
マイクロアブレーション手術…子宮内膜を熱で凝固させ経血を減らします。(妊娠を希望される方には適しません)
実は近年、過多月経の治療法はめざましく進展し、新しい治療法がつぎつぎ出てきています。はやければはやいほど、自身の希望に合った治療法を選択することも可能になります。
いずれにしても、経血量が多い気がする、生理の周期や期間、月経痛などに不安を感じる場合は、はやめに健診、もしくは受診してください。
特に妊娠を希望されているのであれば、なおさらです。
品川先生より まとめ
ホルモンバランスの乱れで起こる機能性過多月経は、ホルモン剤や排卵誘発剤、ピルなどの薬物療法で対処できます。しかし、子宮内膜症、子宮筋腫など子宮の病気が原因で起こる器質性過多月経の場合は、適切な治療が必要です。はやめに受診しましょう。