動悸、息切れは 更年期障害?
インタビュー 女性の健康
更年期とは閉経を挟んで前後それぞれ約5年の期間です。この時期は女性ホルモン分泌量の減少により、全身にさまざまな不調が現れます。今回はその症状の1つ、動悸・息切れについて、原因や診断法、治療法を聖マリアンナ医科大学病院の五十嵐 豪先生にお聞きします。
更年期障害の診断は難しい?
閉経を挟んで前後5年くらいの時期を更年期と呼んでいます。女性ホルモンの分泌量が急激に低下したり、逆に脳から分泌されるホルモンの値が上昇したりと、ホルモンが変動を起こす時期です。心身ともにこの状況についていけずにパニックを起こし、それが体調不良を引き起こすことがあります。
「更年期症状」や「更年期障害」という言葉を聞いたことがあると思いますが、病気ではないので、どこからが症状でどこからが障害というきまりはありません。強いていえば、生活に障害が発生するレベルを更年期障害ととらえていただければいいかと思います。
更年期の症状として一番多いのは全身の倦怠感と肩こりといわれています。肩こりやだるさ、ほてりや関節痛など、日常的にこれらの症状を感じている人は少なくないのではないでしょうか。この段階ではまだ何とか我慢できる不調かもしれませんが、たとえば家族とケンカばかりしてしまう、外出がおっくうになる、頭が回らなくて仕事ができない、夜眠れない、気分が落ち込むなど、精神にも影響を及ぼして生活に支障が出ると、これはもう更年期障害の段階で、病院に行くスイッチになるかと思います。
更年期の症状は体から心まで多岐にわたるので、最初にどの科を受診したらいいかわからないという声もよく聞きます。最近は更年期外来など、女性のヘルスケア専門医も増えてきましたが、まだまだマイナーな分野なので、存在すら知らないという方もいるでしょう。迷ったら、日本女性医学会のホームページを見て、更年期の専門医がいる施設を受診するのがおすすめです。また、大学病院のように1つの施設でいろいろな科が存在している所なら、複数の施設を訪れなくて済みます。
診断は、まず血液を採ってホルモン状態を調べます。卵胞ホルモン(エストロゲン)の低下、卵胞刺激ホルモン(FSH)の上昇が認められれば更年期による症状だと推測します。ただし、これは確定的なものではなく、あくまでも目安です。たとえばエストロゲンの値を正常で100と考えた場合、50まで減っても症状がまったくない人もいれば、80あってもひどい人もいます。
また、年齢だけを見て更年期症状と決めつけるのは危険です。不調には、もしかしたら別の重大な病気が隠れているかもしれません。たとえば血圧が高いとほてることがありますし、糖尿病だとだるくなることがあります。貧血や不整脈でも息切れの症状が出ますし、甲状腺機能が亢進しているとイライラして動悸がすることもあります。
内科的な病気の可能性もチェックして、それを治療しても症状が治まらなかったら、更年期による症状を疑います。