【特集】不妊検査はなぜ1カ月以上かかるの?
コラム 妊活
【特集】不妊検査はなぜ1カ月以上かかるの?
不妊治療を始めるには女性も男性も、いくつかの検査を行いその原因を探ることが必要になります。不妊検査とはどんな内容で、どれくらいの期間が必要なのか、田村秀子婦人科医院の田中先生にお話を伺いました。
※2019年5月24日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.42 2019 Summer」の記事です。
- 美穂さん(33歳)からの相談
- ● 検査から治療まで、何カ月かかるの?
妊娠を心待ちに半年待って、先月から病院に行きはじめました。不妊治療を経験された方に質問です。治療に入るまで検査は何カ月かかりましたか? 本などでは2~3カ月とありますが、その間に先生からの指示やアドバイスはありましたか?
- まとめ
- 検査期間の目安は2カ月。
その方の状態や通院ペースでも変わります。
早い人でも2カ月位は必要。同時に妊活は始まっています。
初めて不妊外来を受診されたときには、妊娠に関するご夫婦の詳しい問診をとり、その後不妊検査に移ります。
女性の不妊検査は、初めに内診や超音波検査、子宮がん検診、クラミジア検査などの婦人科一般検査を行い、子宮筋腫や卵巣腫瘍、子宮内膜症、クラミジア感染の既往などをチェックします。
次に、月経周期の月経期、卵胞期、排卵期、黄体期、それぞれに適した検査を行います。月経周期に伴う卵巣(卵胞や黄体)や子宮内膜、排卵の状態は適時主に超音波検査とホルモン検査(血液検査)で、そして月経後に卵管の疎通検査(HSGや通水)を行います。
その他必要に応じて、子宮内病変の検査、卵巣予備能の検査(抗ミュラー管ホルモンAMHを含む)、抗精子抗体検査などさらに詳しく検査を行います。
男性の不妊検査は主に問診と精液検査です。結果により、男性不妊専門医(泌尿器科)の受診をおすすめしています。
このように一通りの検査が終わるのに早い方でも2カ月(2周期)程度必要ですが、その方の状態や通院のペースによっては多少前後します。検査・治療歴のある方には、必要と判断した検査をご提案します。
「検査に2カ月もかかるの?」と焦ってしまいがちです。特に初めて不妊外来を受診される方はすごく緊張しておられます。「何か問題があったら…」、そんな不安と期待を抱きつつ、皆さんはきっと意を決して不妊外来を受診されるのではないでしょうか。
当院ではこの期間のコミュニケーションも大切にしています。いかにリラックスしてその後の不妊検査や治療に臨んでいただくためにも、医師や病院に慣れる大事な期間なのです。
検査と同時にタイミング指導も兼ね、すでに妊活は始まっているので、焦らなくても大丈夫です。できればご夫婦が同じタイミングで不妊検査を受けていただけるとベストですが、まずは女性からでもOK。「そろそろ検査してみようかな」と思われた時、いつでもお越しください。
日頃から葉酸の摂取などいつでも赤ちゃんを 受け入れられる体づくりを
検査(妊活)がスタートしたら、ふだんよりも「自分の体の状態を意識すること」を是非とも心がけてください。
まずは赤ちゃんをいつでも受け入れられる体づくりは大切です。栄養のバランスのとれた食生活はもちろん軽い運動もとりいれてみましょう。妊活を始めたら、「葉酸」はとても重要です。2000年に厚生労働省から、「妊娠の可能性がある女性は通常の食事に加え栄養補助食品から1日400㎍の葉酸を摂取する」ことが通知されました。葉酸は妊娠初期の先天異常の危険性を下げるだけでなく、妊活中の卵子の質や着床にも関連することがわかっています。「葉酸」サプリメントで効率的に補いましょう。
他には、妊娠初期の風しん感染を予防するために、風しん抗体の検査も受けておきましょう(助成金制度もありますのでお近くの自治体でご確認ください)。
当院では、「基礎体温の変化」や「おりもの(頚管粘液)」などご本人の体の感覚も取り入れてリンクさせる基礎体温のつけ方、排卵時期の予測、タイミングの取り方などをお伝えしています。排卵検査薬も目安になりますが、結果の出方に個人差があるため排卵時期を逃してしまうことも。自分自身で排卵の感覚が多少つかめるとタイミングの時期が少しずつわかってきます。超音波検査などで裏付けを取りながら指導していきますので、安心してください。
不妊検査の結果をもとにスムーズに今後の治療へつながるためには、医師やスタッフとの信頼関係を築くことが何より大事です。わからないことや不安なことがあれば何でも聞いてくださいね。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.42 2019 Summer
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