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空胞・変性(卵の発育不全、あるいは成熟不全)

専門医Q&A 女性の健康

空胞・変性(卵の発育不全、あるいは成熟不全)

「最近は卵は数個採れる様になりましたが、思うように強い卵に恵まれません。今年5月に一度違うクリニックへセカンドオピニオン的に聞きに行ったら薬が邪魔してると言われました。」

2010.9.14

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くるくるさん(40歳)


36歳で結婚し、年齢が気になり治療に反対していた主人を説得し、不妊治療専門のクリニックの門をたたきましたが、なかなか思うような結果が出ず、転院し、IVFにチャレンジ。最初は空砲・変性卵、採れても移植まで行かない日々の数ヶ月でお金も気力もなくなってしまいましたが、漢方併用のおかげか徐々に着床迄こぎつけました。ですが、余りにも効率が悪いです。
最近は卵は数個採れる様になりましたが、思うように強い卵に恵まれません。今年5月に一度違うクリニックへセカンドオピニオン的に聞きに行ったら薬が邪魔してると言われました。
又、長い間誘発剤を使った治療をしているのに今更完全自然周期で卵は採れるのでしょうか?今後どのような治療がいいのかこのままでいいのか年齢もあるので迷っています。どうか教えていただきたいです。
ちなみに、D3ホルモン値 E2:60~95 FSH:8~11.4 です。宜しくお願い致します。」




お話を伺った先生のご紹介

原利夫 先生 (はらメディカルクリニック)


赤ちゃんが出来にくいという状態は、医学的な側面と環境的な側面の両面、言い換えますと、心と体のバランスの解決が必要であると考えております。
最近では、体外受精などの先進的な医療の妊娠率にとらわれがちですが、私達医師は、妊娠しやすい安心できる環境と、それをサポートする医学的な力を提供すべき使命があると考えています。
三人四脚で新しい家族の誕生をお手伝いすることが出来れば幸いです。

院長 : 原 利夫 (はら としお)
医学博士。58年慶応義塾大学大学院医学研究科修了にて医学博士学位を取得する。同大産婦人科助手を経て、62年東京歯科大学市川病院講師、平成元年千葉衛生短大非常勤講師となる。この間、日本初の体外受精凍結受精卵ベビー誕生のスタッフとしても活躍する。


≫ はらメディカルクリニック




当初の治療経過をみますと、空胞(empty follicle syndrome)採卵が目立ちます。EFSは卵巣機能低下に基づく卵の発育不全、あるいは成熟不全と考えられています。
さらに、卵の回収率の低い例はボーダーラインEFSと呼ばれ、やはり卵巣機能の低下が原因とされています。
35歳以下の正常卵巣機能を有する女性ではセロフェンのみ、あるいはフォリスチム150投与した場合では4〜6個程度の卵胞が発育するのが一般的です。
しかし、ご質問者の方は当初は空胞、あるいは変性卵であったことから、卵巣機能は低下状態にあったと思われます。その後の漢方薬の併用により、採卵数も増えたことは卵巣機能が回復したことが示唆され、漢方治療は適切であったと思います。しかしながら、十分な卵子の採取とはいかなかったことで今後の治療も含め不安があったことと思います。
ご質問者の方のような排卵誘発剤を使用しても卵巣の反応の悪い状態をpoor responderと診断します。
poor responderの治療は、採卵数を増やすために、排卵誘発剤の投与量を増やすことではありません。排卵誘発剤の増量では、採卵数や受精卵の増加はほとんどみられず、妊娠率の向上は期待できません。
poor responderの治療はアメリカでは卵子提供という切り札がありますが、日本では、鍼治療、気功、心理療法、などを併用したり、各種サプリメントの投与、さらには、低容量アスピリン併用療法、DHEA投与による卵巣機能回復、L-アルギニン投与法、アロマターゼインヒビター投与法など、いろいろな排卵誘発法が工夫されています。
当院では、慶大中村式の持続ポンプ注入療法により、良い結果を出しています。
ある報告では、Poor responderにおいて、自然周期法が一般的な排卵誘発法に比べ、妊娠率の差はなく、出生率では自然周期のほうが高かったとされています。
ご質問者の方のE2値、FSHが正常範囲にあることから、自然周期での採卵を薦められたのではないかと思われます。
患者様の状態をよく観察しすべての知識を動員して忍耐強く治療を継続すれば、よい結果に結びつくことは多くの不妊専門医は経験しています。
あなたご自身の排卵状態などを確認され、最適な方法を選択し、納得のいく治療をうけられることを望みます。





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