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腹腔鏡検査

専門医Q&A 女性の健康

腹腔鏡検査

2010.9.14

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まっぺさん(31歳)

治療を進めていくなかで徐々に分かった事です。いつも右の卵巣から排卵します。誘発剤で左の卵胞も少し成長しますが、消滅してしまいます。原因は不明で、卵巣周辺が癒着している可能性も考えられるが、問題無いと言われました。以前、クラミジアに感染して症状が出てからもしばらく放置していた、治療が遅れたのが原因だと自分自身では考えております。卵管造影の検査は問題はないが、拡散がいまいちと言う事。

最近腹腔鏡検査を希望するが、31歳の年齢と卵巣機能が衰えはじめている、腹腔鏡検査が半年待ちと言うことで体外を勧められる。このまま不安なままステップアップは考えられない。もちろん原因が分かる方と分からない方がいる様ですが、癒着している場合は取って貰ってすぐ妊娠する方がいると妊娠本で知りました。転院して腹腔鏡検査をした方がいいでしょうか。


お話を伺った先生のご紹介

久永浩靖 先生 (久永婦人科クリニック)






≫ 久永婦人科クリニック

腹腔鏡検査は不妊治療にとって非常に有効な検査であると考えます。
ですが、医師によりその経験や症例に差異があるため積極的に勧められる先生と若干否定的な立場の先生がおられるのも事実です。

私の場合は婦人科内視鏡学会技術認定医でもあり検査を積極的にお勧めする立場をとっております。
検査にはメリットデメリットがありますのでそれについてご説明いたします。

まずメリットとしては内視鏡検査により実際に患者様の腹腔内が直視的に確認できる点で、これは他の検査に大きく勝る点でしょう。
心配されておられるクラミジア感染の既往に伴う腹腔内の癒着の有無を確認することができること、またインジゴカルミンという色素を流すことで卵管の通過性を確認することや卵管采の形状を見てピックアップ障害がないかなど、得られる情報はたくさんあります。
その後腹腔内を生理食塩水で洗浄することにより妊娠率の向上も期待できます。また、その後一般不妊治療をお続けになるか、体外授精などへステップアップするかの判断材料にもなります。

一方デメリットとしては検査とはいうものの、数日間の入院が必要で全身麻酔をお受けになる必要があることと1〜2cm程度の小さい傷ではありますが内視鏡カメラやその他の鉗子類などを挿入するために2-3箇所の切開が必要となります。
すなわちある程度侵襲の加わる検査であることは否定できません。
実際そこまでの検査をするのなら体外授精を希望します、と言われる患者様もおられるのも事実です。

私としては、クラミジア感染の既往、子宮内膜症が疑われる場合、開腹手術の既往など腹腔内の癒着を強く疑う場合と重症の多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の患者様には比較的早期に腹腔鏡のお話しをしており、そうでない場合には一般不妊治療を半年〜1年程経過した場合にお話しをするようにしております。

ご相談のケースで体外授精をすぐには考えられない、あるいは本当に体外授精が必要かどうかきっちり確認したいということであれば腹腔鏡検査は有用と考えます。


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