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不妊は腎臓の疾患と考えるのでしょうか?

専門医Q&A 漢方・鍼灸

不妊は腎臓の疾患と考えるのでしょうか?

2013.2.20

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プリンさん(30歳)

子宮筋腫が原因の不妊で不妊専門の漢方医に相談したところ、
「不妊は腎臓が悪いからであり、子宮筋腫も結果的に腎臓が悪いからだ」言われました。
そして腎臓をよくすれば不妊にもいいと。詳しく教えて頂けますか?


お話を伺った先生のご紹介

小島晃 先生 (小島薬局 本店)


1990年東京薬科大学。3年間大手製薬会社で東京の大学病院を担当し、西洋医学の医療現場を学ぶ。高度に細分化された西洋医学の治療に疑問を感じ始めているとき、人間全体を見る中医学を知る。

東京・高円寺(現在は中野に移転)にあるイスクラ中医薬研修塾で1年間学び、1994年より小島薬局本店で漢方相談に従事する。

1995年から3年間北京中医薬大学日本校で中医学をさらに研鑽し、1998年の卒業と同時に国際中医師試験に合格する。
1997年より日本中医薬研究会学術委員を務め、2002年~2006年まで日本中医薬研究会学術委員長を務める。
2003年7月発刊の「東洋医学の名医134人徹底紹介」に紹介される。
2008年5月に自身が学んだイスクラ中医薬経営塾の講師に就任する。
2008年7月に湖北民族学院の客員教授に就任する。
2011年1月に日本中医薬研究会学術委員長に再び就任する。
2011年3月に湖北中医薬大学の客員教授に就任する。

著書に「女性の悩みは漢方で治す」(知道出版)、「不妊症周期療法のお話」(自費出版)がある。
現在、小島薬局本店で漢方相談を行い、後進の指導や中国医学の普及に努めている。



≫ 小島薬局 本店

漢方医学では不妊症は腎の働きの低下(腎虚)と関係があると考えています。

漢方医学でいう腎は、西洋医学でいう腎臓とは概念が異なります。西洋医学では腎臓は排尿などの泌尿器系の働きを中心に考えますが、漢方医学では成長、発育、生殖、老化に関連したより幅広く重要な臓腑と考えています。この中でも「腎は生殖を主る」という言葉があるように、生殖やホルモンと深い関係がありますので、腎の働きが低下すると不妊症と関係があると考えるのです。ご質問のように「腎臓が悪い」というと、西洋医学の腎機能障害と誤解を受けやすい表現なので、プリン様も少し戸惑われたのだと思います。

漢方医学では腎の働きが低下した「腎虚」を改善するために、「補腎薬」があります。補腎薬は様々な種類があり、体質をきちんと見立てて、体質に合った補腎薬を選ぶことが大切です。
不妊症の方はホルモンの働きを高める補腎薬が望ましいと思います。一般的に植物性の補腎薬よりも動物性の補腎薬(鹿の角、亀の甲羅、胎盤エキスなど)を含む製剤の方が効果的です。
女性の場合は生理周期よって補腎薬を使い分ける「周期療法」を行うと、より効果的です。

さて、子宮筋腫と腎の関係ですが、確かに関連性はありますが、子宮筋腫が全て腎が悪いというような表現は少し不適切だと思います。子宮筋腫は遺伝や食生活、ストレス、ホルモンバランスの乱れなどが関係しています。ホルモンバランスの乱れは「腎虚」と関係がありますが、補腎を行っただけでは子宮筋腫の改善は不十分です。漢方医学では子宮筋腫は「癥瘕(ちょうか)」といわれており、子宮に瘀血や痰湿という病理産物が滞って出来ていると考えています。ですから、瘀血や痰湿を改善する漢方薬が必要になります。

子宮筋腫があって、同時に不妊症も改善したい場合は、腎虚を改善する「補腎薬」と瘀血を改善する「活血薬」を併用するとよいと思います。具体的な漢方薬は詳しく全身症状をお聞きしないと選ぶことができませんが、生理周期が安定していましたら、上記の様に周期療法をお勧めします。

以上、ご参考になれば幸いです。


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