IVF3回目もダメでした。
相談者:echoさん(40歳)
3回目の胚盤胞移植をして、反応はあるもののhCGの数値が低くて継続できません。このまま移植を続けて、良い結果が出るのか不安です。
子宮頸がん検査でHPV感染の異型性があり、経過観察の状態なのですが影響はありますか。
また、化学的流産でも不育症検査をした方が良いでしょうか。他に受けるべき検査や対策などがありましたら、アドバイスをお願いします。
1回目/移植1週間後hCG値0.6。数日後に生理となる。
2回目/移植1週間後 hCG値0.2。10日後 hCG値660.8。胎嚢確認できず。
子宮外妊娠が疑われたが、その後流産・出血し、数値が下がる。
卵管水腫に罹患しているため、腹腔鏡手術により両卵管をクリッピング措置。
3回目/移植1週間後hCG値20.4日後に生理と思われる出血があり数値が下がる。
echoさんのデータ
【身長/体重】162cm/56kg
【治療年数】1年
【AMH(抗ミュラー管ホルモン:卵巣予備能)の値】0.38
【月経について】化学的流産3回、24周期(日数前後あり)、生理痛若干あり、不正出血あり
【不妊の原因となる病名】チョコレート嚢腫、卵管水腫
【検査歴・治療歴】卵管造影、子宮鏡検査、腹腔鏡手術
【現在の治療方針】ピルを服用しIVF採卵前クロミッド服用、採卵後ソフィアA服用、移植後デュファストン服用、ブセレキュアは採卵前と移植前に使用
【精子の検査データ】問題なし
【妊娠歴】なし
【漢方薬やサプリメントの使用の有無】当帰芍薬散、美的ヌーボプレミアム
さくらウィメンズクリニック 仲田 正之先生
大学卒業後、静岡済生会総合病院産婦人科、名古屋大学付属病院産婦人科、静岡済生会総合病院産婦人科部長、山王病院リプロダクションセンターを経て平成25年8月より さくらウィメンズクリニック院長に就任。オーダーメイドな優しい診療を心掛けて行きたいと考えております。
仲田先生:数値から推察して、1回目の移植では妊娠しておらず、2回目はある程度育ったけれどダメだった、3回目はかすめて終わったという印象を受けます。うまく着床して育たなかった原因も1つでないように思われますし、妊娠の可能性はあると思います。
卵管水腫もクリッピングの措置をされていますし、他にもHPV感染やチョコレート脳腫などがあるとのことですが、担当医が「妊娠に影響はない」と判断しているからこそ移植が行われているのですから、経過観察を続けて頂ければ大丈夫と考えます。
また、不育症検査の必要性ですが、ある程度はすでに通っているクリニックでも検査されていることと思います。精密な不育症検査して悪いことはありませんが、まずはそれなりの費用(想定して20万円程度)がかかることを知っておいてください。また、夫婦の染色体や抗体といった不育の原因がわかったとしても、画期的な治療法が確立されていないのが現状です。何が原因かどうしても知りたい!というのなら話は別ですが、知っても有効な改善策を得られないとしたら、検査する意味があるかどうかは疑問です。時間的にも経済的にもゆとりがあるのなら、と条件付けたうえで検査を受けることは否定しません。
ただ、echoさんのご年齢は40歳ですし、まだ治療年数も1年とのことですので、焦らずにもう少し移植を続けても良いかと思います。現在なさっている不妊治療の方向性は、決して間違ってはいません。確かにご年齢からして卵子の劣化は考えられますが、卵子すべてが悪いというわけではなく、ひとつひとつの卵子に個性があると考えてください。元気な卵子もきっといますし、相性が良ければ妊娠に至りもします。喩(たとえ)が不謹慎かもしれませんが“くじ引き”のようなもの。数多く引くほどに“当たりくじ”=“元気で相性の良い卵子”と巡り合う確率は高くなるのだと、まずはあまり神経質にならずに担当医の指示に従ってみてください。