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1人目から7年。 早めに体外受精にトライすべき?

コラム 不妊治療

1人目から7年。 早めに体外受精にトライすべき?

2018.2.24

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相談者:みくたんさん(36歳)からの相談


▶早めに体外受精にトライするべき?


結婚6年目でタイミング療法により1人目を妊娠・出産。それから7年、2人目を望んでいます。8月にFT手術をして1カ月目にタイミング、2カ月目からステップアップして人工授精にトライしていますが、3カ月目も結果は陰性。1カ月目の後の主人の精液検査は、量が4ml、濃度2100万/ml、運動率19%、正常形態率30%、直進運動精子率50%でした。私が36歳、主人が41歳という年齢からも、人工授精は6回くらいをめどにステップアップしたほうがいいといわれています。術後の妊娠しやすい半年間に、少しでも有効な治療をするために、体外受精にトライするべきでしょうか。我が家の家計に、体外受精の治療は金銭的にも大きな負担なので、夫婦で迷っています。ゴールの見えない高額の治療をこのまま続けていくべきなのでしょうか。



みくたんさんは、8月にFT手術を受けています。


FT手術は卵管鏡下卵管形成術(FT)といって、卵管の通過性改善の手術で、それにより妊娠できる可能性が高いのは最初の半年です。そのリミットを頭において、術後、最も妊娠率の高い治療としてタイミング1回、人工授精2回、さらにもう1回人工授精をしたら、それでもう4カ月の経過です。もし間で休みの周期があったとしたら、すぐに半年になるわけです。ですから、人工授精3回を一つの目安として体外受精に進むのか、人工授精を続けるのか、ですね。


人工授精で妊娠しない理由として、何が考えられるのでしょうか?


ご主人の精子は、運動率も濃度も明らかに人工授精が適応になる数値です。1人目のお子さんが、自然妊娠でも6年かかったのは、精子状態に良い時とそうでない時があったことが考えられます。一方、みくたんさんの情報がないので何とも言えませんが、もしかしたら、みくたんさんにも排卵障害があるのかもしれませんね。


妊娠・出産の経験があると、体外受精はすすめにくいのでしょうか?


実際、人工授精までの治療で妊娠しているご夫妻に「体外受精をやりましょう」とはなかなか提案しにくいです。「1人目は自然にできたのに」という思いのなかで、そういう治療に踏み切れるかどうかです。ご夫妻から「やります」と積極的に伝えられない限り、こちらからはなかなか言えないように思っています。人工授精3回で「体外受精を考えてみますか」と言わないということも、1人お子さんを出産しておられればあるかもしれません。主治医は、そういうところもみているのでしょうね。


先生は、人工授精から体外受精へのステップアップをどう考えますか?


体外受精を1回やってみて、その結果で考えるのもありだと思います。卵子、精子のダメージに年齢の影響が考えられる時に、受精卵になる・ならないという根本の問題に、疑問をもってもいいのではないでしょうか。人工授精ではわからないことを明らかにするために体外受精をやってみる。ご主人の精子の状態から、体外受精で受精卵になるなら人工授精に戻ってもいいのではないかと思います。


体外受精にかかる金額も気になります。


そうですね。だからこそ高額な体外受精の治療を何回もするというイメージをもたないということがあっても仕方ないと思います。やってみた結果、顕微授精しかないとわかった時に、「諦めよう」となるかもしれません。妊娠・出産をゴールと考える一方で、もう治療をしないという選択肢もあります。ゴールは一つだと思うと、一つしか選択肢がないようですが、いろいろなゴールがあると思ったら、また違った見方もできるようになると思いますよ。





Doctor’s advice


●1回、体外受精にトライしてみて、その結果で人工授精に戻すことも。
●ゴールは一つではありません。いろいろな選択肢がありますよ。



 


お話を伺った先生のご紹介

内田 昭弘 先生(内田クリニック)


島根医科大学医学部卒業。同大学の体外受精チームの一員として、1987年、島根県の体外受精による初の赤ちゃん誕生に携わる。1997年に内田クリニック開業。生殖医療中心の婦人科、奥様が副院長を務める内科、大阪より月1回来院の荒木先生による心理カウンセリングをもって現在のクリニックの完成形としている。毎年、年末年始は玉造温泉で年越しをする内田先生のご家族。今年も3泊4日で旧年の疲れを癒し、新年に向けての英気を養いました。今年は開院21年目。新たな始まりに向けてスタートした内田クリニックです。

≫内田クリニック

出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.37 2018 Spring
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