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早発卵巣不全の診断。専門クリニックへの転院と高刺激の排卵誘発は有効?

コラム 不妊治療

早発卵巣不全の診断。専門クリニックへの転院と高刺激の排卵誘発は有効?

独身時代から高FSHにより採卵数が少なかった相談者。自身のタイムリミットを感じ、専門クリニックへの転院や高刺激への治療に悩んでいます。そこで蔵本ウイメンズクリニックの蔵本武志先生にお聞きしました。

2018.9.4

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独身時代から高FSHにより採卵数が少なかった相談者。自身のタイムリミットを感じ、専門クリニックへの転院や高刺激への治療に悩んでいます。


 


※2018年8月27日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.39 2018 Autumn」の記事です。





nikakoさん(41歳)からの相談



早発卵巣不全に高刺激はどうなのでしょうか



37歳でAMH0.3ng/ml以下、39歳で0.16ng/ml以下と診断されました。D3のFSHは20~40mlU/mlが多く、今は採卵3~4回に対して1~2個しか採れません。空胞も多く、排卵周期が生理周期とズレてきており閉経を感じています。そこで、早発閉経専門のクリニックへの転院を考えています。そちらでは高刺激も含めてさまざまな刺激法を実施しているようですが、AMH0.16ng/ml以下に高刺激というのはどうしてもリスクを感じます。以前、AMH0.3ng/mlで高刺激をしてもほとんど採卵できなかったこともあります。なにより、毎回お休み周期を取らなければならないことも不安です。今までの方法で結果が出ていないので方法を変えたいという気持ちと、リカバリーする時間がもうないのではと悩んでいます。早発卵巣不全に刺激法は有効なのでしょうか。






Doctor’s advice


●早発卵巣不全とはいえないので早めの採卵を!
●低刺激法を行い初期胚凍結備蓄しては。
●妊娠しやすい体づくりを目指しましょう。




お話を伺った先生のご紹介

蔵本 武志 先生(蔵本ウイメンズクリニック)


久留米大学医学部卒業、山口大学大学院修了。山口県立中央病院産婦人科副部長、済生会下関総合病院産婦人科部を経て、1990年オーストラリア・PIVETメディカルセンターへ留学。帰国後、1995年蔵本ウイメンズクリニック開院。JISART(日本生殖補助医療標準化機関)理事長。久留米大学医学部臨床教授。

≫ 蔵本ウイメンズクリニック

排卵の不安定さから早発閉経専門のクリニックへの転院をお考えのようです。


お悩みの早発卵巣不全の定義ですが「40歳未満で無月経となり、超音波検査で小さな卵胞が見えず、FSH値が40 mlU/ml以上という高い値で、卵巣機能が極端に低下した状態」のことです。この場合、当然AMH値は測定最低値の0・02か測定不能を示します。
 しかし、nikakoさんはAMH値が低いとはいえ採卵できたようですね。さらに周期は乱れているとはいえ月経はきている。これらの状況を見ても、早発卵巣不全ではないと考えられ、必ずしも早発閉経専門のクリニックへの転院が必要だとは思われません。


AMH値が低い状態では高刺激の排卵誘発はリスクがありますか?


AMH値は、年齢に伴う卵子数の減少とともに、徐々に低下していくものです。41歳という年齢のことを考えると胚盤胞になかなか発育しないので、胚盤胞だけではなく、初期胚を凍結・複数個備蓄してから融解胚移植するのがいいのではないでしょうか。
また、nikakoさんのFSH値は20~40 mlU/mlと高く、血中エストロゲンが低い状態です。ホルモンに対する卵巣の反応が悪く、卵胞が育ちにくくなっていると思われますので、FSHを落とす必要があります。その場合、エストロゲン製剤を加えたり、「カウフマン療法」で通常の月経周期をつくり、ホルモン環境を整えていくことが必要になるでしょう。エストロゲン製剤を少量ずつ連日投与し、血中FSH値を10 mlU/ml近くまで下げて、ゴナドトロピン(排卵誘発剤)に対する卵巣の反応を高めていきます。その後、クロミッド®などによる低刺激法を行うことで、発育する卵胞数は少ないかもしれませんが、いい条件が揃えば育ってくると考えます。
また、短期間で行いたい場合は、ピルを使うこともあります。しかし急激なホルモンの変化を起こすより、エストロゲン製剤で整えるほうをおすすめします。
もし高刺激法を選ばれるならば、ここから2〜3週間ほどFSH製剤やHMG製剤を連日大量に投与することになります。この場合、保険が利かないので費用は高額になるうえ、連続して高刺激を続けますと、卵巣が疲れてしまい反応が鈍くなるおそれがあります。nikakoさんが心配されるように、リカバリーの時間も必要になります。胞状卵胞が3個前後であれば、高刺激を行っても劇的に採卵数が増えることはないと思います。まずは低刺激法を試し、いよいよ卵胞が育たなくなった時の「最後の手段」として考えてはいかがでしょうか。


ほかに取り組めることはありますか。


治療と同時に、年齢的には「妊娠する基礎」つまり体づくりが重要です。喫煙は避け、快適な睡眠とウォーキング習慣を取り入れてみたらいかがかと思います。また、アンチエイジング効果が期待できるサプリもおすすめしています。アスタキサンチンやLーカルニチン、ビタミンEやD、葉酸などが含まれたサプリなど医師と相談して摂取してみてください。


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.39 2018 Autumn
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