これだけは知っておきたい「卵巣がん」のこと
インタビュー 女性の健康
乳がんや子宮がんに比べると、やや認知度が低い「卵巣がん」。卵巣は沈黙の臓器とも言われ、気づいた時にはガンが進行していることも多いと言われています。それだけに、最低限知っておくべき卵巣がんの原因研究や治療の現状を、かおりレディースクリニックの大谷 香先生に教えていただきます。
卵巣がんで最も多いのが「上皮性卵巣がん」。治療は日進月歩で進化中
卵巣がんの種類はさまざまありますが、なかでも最もかかりやすいのが「上皮性卵巣がん」と言われています。年間約9300人以上の方が罹患し、約4600人以上の方が亡くなっているというデータがあります。
◆卵巣がんの5年生存率(全がん協調べ)◆
Ⅰ期 Ⅱ期 Ⅲ期 Ⅳ期
1997~2000 92.6 63.2 44.4 29.6
2007~2009 89 69.6 45 25.3
Ⅰ期 がん細胞が卵巣にしかない状態
Ⅱ期 がん細胞が子宮まで広がっている状態
Ⅲ期 がん細胞が骨盤まで広がっている状態
Ⅳ期 がん細胞が肺や脳などほかの臓器にまで転移している状態
ここに約20年前と10年前のデータがあります。Ⅱ期までの生存率はまだよいのですが、Ⅲ期以降の5年生存率がデータで見る限りではあまり変化が見られませんでした。この時代は手術と化学療法が主流でしたが、2004年アメリカで分子標的治療薬が承認されてから、治療の選択肢が広がり、特にⅢ期以降の5年生存率の上昇に期待が寄せられています。