1人目を顕微授精で妊娠。次はタイミング法で妊娠できる?
コラム 不妊治療
1人目を顕微授精で妊娠。次はタイミング法で妊娠できる?
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※2018年11月22日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.40 2018 Winter」の記事です。
- じんべえさん(33歳)からの相談
2人目を自然に授かれるか - 昨年、顕微授精で第1子を出産しました。子どもが1歳になったので、そろそろ2人目を考えています。低AMH(1カ所目の病院1.58ng/ml、2カ所目の病院2.39ng/ml)だったので、タイミング法や人工授精をとばして、最初から顕微授精でした。顕微授精2回目で第1子を授かりました。凍結受精卵は、5個残っています。今、病院へ行けば、凍結受精卵を戻すことになると思いますが、自分では、タイミング法でも授かれるのではという希望もあります。子育てと不妊治療の両立が難しいのもあります。また、はたして自分の検査結果がそれほど悪かったのかという疑問もあります。子どもを産むと、体質が変わる人もいると聞いたことがあります。すぐに病院に行くべきか、1年ほど様子を見るべきか、ご意見をよろしくお願いします。
- まとめ
- ●AMH値には幅があり、検査ごとに変動する場合があります。
●出産で体質が変わることは少ないです。2人目の治療スタートは早めに。
じんべえさんは顕微授精で妊娠し、次はタイミング法を考えています。
1人目の治療を受ける前に、ご夫妻がどのような経過をたどっていたかですね。妊娠を目指した期間、取り組み内容によって変わってくると思います。妊娠可能な夫婦生活をしていなくて顕微授精したのなら、妊娠できる生活をしてみるというのもあるでしょう。でも、長期間、妊娠できる生活をしていたなら、タイミング法は可能性が低いと思います。
2回目でAMHの値が上がっています。
近年は、検査した時の状態でAMH値は変動するといわれています。年齢がすすむにつれて、個人個人の幅のなかで、上下しながら最終的にゼロになるとも。周期で数値をみるのもいいかもしれません。1施設目の1・58 ng / mlは、おそらく低い時だったのでしょう。次は2・39 ng / mlですが、3施設目では再び低いかもしれません。検査の特性上、変動があるとされているので、1回だけの変動を気にせず、いろいろな情報をまとめて治療プランは立てることが必要だと思います。
いきなりの顕微授精の治療は、どのようなケースの時でしょうか?
最初から顕微授精を考えるには、その治療が必要なほど精子の条件がよくない場合です。それ以外に、前段階の治療を飛び越しての顕微授精はありません。内田クリニックでは、AMH値が低くても、いきなり顕微授精の治療をすることはなく、まずは、ご夫妻が望む治療を聞きます。今回、ご主人の精子データを基本に顕微授精を行うとしても、人工授精を1回、2回はすることもあります。
妊娠で体質が変わることはありますか?
1人妊娠したから妊娠しやすくなるということはないと思います。1人目の治療の時に、施設によっては早い段階で体外受精に進むところもあり、2人目はたまたま体外受精でなくても自然妊娠できたケースがあったかもしれません。そういうことから、体質が変わったと思われたのでしょう。ただ、精神面が関与していて、1人生まれたことでプレッシャーから解放されて妊娠しやすくなったということはあるかもしれないですね。
じんべえさんは、1年ほど様子を見ることも考えているようです。
育児と治療の両立は大変だと思います。しかし、さまざまなデータをもう一度確認し、AMH値が低ければ、早めに治療を進めていきましょう。ご主人が何歳かわかりませんが、子どもを育てるには、社会的年齢も関与してきます。1人生まれたら体質が変わるかもしれないというところを頼りにしないで、早めに2人目を産み、できれば3人目まで頑張ってほしいですね。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.40 2018 Winter
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