【Q&A】治療の進め方についてー浅田先生
専門医Q&A 不妊治療
【Q&A】治療の進め方についてー浅田先生
Q&Aサービスにいただいた相談、第4弾!不妊治療で授かった双子を帝王切開で出産後、再び治療を開始したところ、3回の化学流産。治療の進め方は?浅田先生からご回答いただきました。
相談者:Lichtさん(41歳)
体外と顕微受精にて受精した卵子を2つ戻し、双子を授かり、無事帝王切開で出産。
子供が3歳になった時、再び体外受精を施行。新鮮胚移植、胚盤胞移植、凍結胚盤胞移植と合計3回施行しましたが、いずれも尿検査での妊娠反応はなく、血液検査ではhcg反応はあるものの上昇はなく、化学流産してしまいました。
ひたすら体外受精を繰り返すしかないのでしょうか?
3回の移植で、いずれも化学流産されています。
胚移植をしたらその卵は胚盤胞の翌日頃に着床します。胚がその後、発育するとhCGを分泌するためhCGを測定すると陽性になることはよくあることです。しかし、化学的妊娠に終わることは多々あり、化学的妊娠は当たり前のように発生する、という認識に変える必要があります。
卵巣刺激法について
調節卵巣刺激法が優れている、低刺激法が優れている、といった話は誤っており、AMH値(卵巣予備能)により刺激法は決まり、刺激によりいくつの成熟卵が採れたかが重要となります。卵の品質が変わるわけではありません。成熟率の高い成熟卵の数が多いほど妊娠率は高くなります。
先生が注目する問題は?
Lichtさんの一番の問題は、現在お子様が3歳になったという事ですから、Lichtさんもその分 年齢を重ねているので、Lichtさんが生まれる前にできた卵子も同じように年齢を重ねています。38歳と41歳とで何が違うかと言えば、卵子の年齢です。38~39歳であれば、一人を出産するためには約20個の卵子が必要で、40~41歳になると一人を出産するためには約2倍の40個以上の卵子が必要になると言われています。それほど卵子の老化の影響は大きく、赤ちゃんまで育つ卵の確率が低くなるということです。38歳の時に双子を出産されたという事は、本来であれば約20個の卵子が必要であったところ、偶然2個の卵が育ったということは非常に運がよかったと思います。
ただ、38~39歳であれば約20個、40~41歳では約40個以上の受精卵が必要というのは平均であって、Lichtさんとご主人の受精卵の遺伝子の組合せが大変よく、赤ちゃんまで育つ確率が高いのかもしれません。ということは41歳になっても必要な受精卵は、平均の数よりも少なくてよいのかもしれませんが、妊娠に必要な卵の数は双子を出産された時より2~3倍の数が必要となっていてもおかしくはありません。
言葉は悪いですが、Lichtさんが言われる「ひたすら体外受精を繰り返すしかないのでしょうか」ということに対する回答は『正しい体外受精を繰り返しましょう』ということになります。
治療を進めるにあたって
AMH値(卵巣予備能)の検査をされていないので、検査をお勧めします。
AMH値により、もう少し卵が採れる人であれば注射を打ち、1回の採卵で10個の卵子を採ることができれば問題は早く解決します。何法が良い、何法が悪いということではないことをしっかり覚えていてほしいと思います。
双子を出産されているので、着床障害や不育症ということは考えなくてよいと思います。
殆どの原因は卵子の老化にあり、卵子を若返らせることはできません。また、卵子は排卵の約半年前から育ち始めているため、途中で卵子の数を増やすこともできません。ですからAMH値を測定し、効率よく受精卵を獲得していくことが一番良い戦略になります。実際、受精卵がどのように育つのかは、育ててみないと分かりません。薬やサプリメントを服用したからといって卵の状態が良くなるものではなく、それぞれの遺伝子が発現し、その遺伝子が上手くつながり最後まで成長すれば出産につながります。
正しい体外受精、顕微授精を続けてください。
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