サプリメントのこと先生に聞いてみよう!
コラム 妊活
※2020年5月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.46 2020 Summer」の記事です。
- Advice
- 卵巣機能を若々しく保つために「プラセンタ」といった
抗酸化成分をメインにしたワンランク上のサプリメントを
卵巣機能の老化を防ぐエイジングケアに注目!
「食事・睡眠・運動」は健康の柱で、妊娠に備える体づくりにも大変重要です。葉酸やビタミンDなどの栄養素不足は赤ちゃんの健康にもかかわりますし、しっかり睡眠をとることで成長ホルモンが体を修復し、適度な運動は血の巡りをよくするうえに、適正体重の維持にも役立ちます。
しかし、不妊に悩む女性にはそれだけでは不十分で、もっと積極的に、卵巣機能をはじめとした体の細胞を若返らせることが必要と考えます。
当院だけではなく、40歳を過ぎてから妊活を始める患者さんは増えていて、不妊治療を必要とされる方の高齢化は全国で進んでいます。実は、若い方でも卵巣の予備能を示すAMHの値が低い方は少なくなく、見た目や年齢だけでは“卵巣の若さ”を判断できなくなっているのです。
ビタミンやミネラルのサプリメントを利用されている方は多いと思いますが、これからはそれに加えて細胞レベルからのエイジングケアも大切。特に、食事からは摂取しづらい高い抗酸化作用が期待される成分を、総合的に組み合わせて摂ることが効果的ではないかと思います。
細胞を元気にしてくれる注目の抗酸化成分とは?
ちょっと難しい話になりますが、細胞の中に含まれるミトコンドリアという小器官はいわば工場のような役目を担い、生体活動に不可欠なATPというエネルギーをつくり出します。しかし、主に加齢や不摂生が重なることなどによって、その機能は低下してしまいます。これがいわゆる「老化」で、エネルギーが不足するとシミやシワなども増えていきます。抗酸化成分はミトコンドリアがスムーズに働くように元気づけ、エネルギー工場の“酸化(サビつき)”を防ぐ役目をします。ミトコンドリアは卵子の中にも多く存在するため、卵子をできるだけ若く保つためにも、抗酸化成分の摂取が有効と考えられるのです。
脂肪をエネルギーに変えやすくする「Lーカルニチン」、糖の代謝を促す「αーリポ酸」、エネルギー産生の最終工程で働く「コエンザイムQ 10」などがミトコンドリアを助けるおすすめの抗酸化成分ですが、なかでも抗酸化成分の働きをトータルで応援する「プラセンタ」は注目の成分です。
プラセンタは胎盤から抽出される成分で、更年期障害や肝機能障害の治療楽としても知られています。胎児は、お母さんの血液から胎盤を通してすべての栄養を得て成長します。再生能力がとても高く、ミトコンドリアを活性させる働きがあることから、卵子の若返りも期待できます。
食事からは摂取できないプラセンタ(胎盤エキス)
実際、「プラセンタエキス含有サプリメント摂取は胚培養成績を改善するか」という研究もなされて、臨床データも集まってきています。結果としては、卵巣機能が落ちていない特に若い人ではさほど変化がなかったものの、卵巣の予備能が下がっている方、40歳以上の高齢の方においては、良好胚獲得率、胚盤胞率が上がって、妊娠しやすくなる傾向が有意に認められました。まだ症例が少ないのですが、この興味深い結果をいずれは世界的にも報告したいと思っています。
卵巣の予備能が低下していない人には変化が少なかったというのも重要な結果で、数値を必要以上に上げることなく、よって副作用もほとんどないに等しいと考えられます。
食事からは摂取できないプラセンタエキスを配合したものは大変珍しく、さらに複数の抗酸化成分を一つのサプリメントで補うことができれば手軽。「機能が落ちている時、弱っている時だけ作用する」というのも安心感があり、ワンランク上のサプリメントと言えるでしょう。
実は私自身も、「ちょっとしんどいな」という時には手に取ることも。妊娠を望む女性だけでなく、男性や更年期の女性にも有効です。
もちろんあくまでもサプリメント(機能性食品)であり、医薬品ではありませんから、即効性はなく、「これを飲めば必ず妊娠する」というものでもありません。健康はバランスのとれた生活習慣が基本ですが、それでも、「エイジングケアをしてできるだけ妊娠しやすい体に底上げしたい」という方の役には立つはずです。飲まれた方からは、「疲れにくくなった」「肌にツヤが出てきた」といった声も聞かれるので、まずは1カ月ほど試してみて、変化をご自身で感じてみてはいかがでしょうか。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.46 2020 Summer
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