卵移植後の岩盤浴ヨガは避けた方がいいのでしょうか?
コラム 不妊治療
サツキとメイ さん(36歳)
不妊治療3年目にさしかかり、この度最初で最後の体外受精にチャレンジしました。これが最後の治療にするつもりなの
で、もっと体にできることをしたいと思っています。本日無事卵を移植してもらいました。そこで近所にある岩盤浴ヨガに週
2回ほど通おうか悩んでいます。移植後の温泉や長風呂は良くないと聞きます。お尻や太ももがいつも冷たい冷え性なので、普通のヨガでは運動後にすごく冷えてしまうんです。移植後に岩盤浴ヨガで体を温めるのは良くないのでしょうか?
初めての岩盤浴なら体が慣れていないから胚移植後は刺激過多になる危険がある
不妊治療を始められて3年、ステップアップして最初で最後と決められた体外受精を、ぜひ妊娠・出産につなげたいですね。
「腎陽の気」を補うには体を温めることが肝要だだし時期に合わせて温め方を選ぶ
妊娠・出産するためには「腎気」が必要です。「腎は精を蔵し、生長・発育・生殖をつかさどる」と言われ、人の一生は「腎気」の盛衰で表されます。そして「腎気」が衰えた状態を「腎虚」と言います。サツキとメイさんはお尻と太ももが冷たい冷え性なので、その中の「腎陽虚」の状態が考えられます。「腎陽虚」は、「腎虚」の状態が進んで「温煎作用」の減退による寒症が現れたものです。内分泌機能の低下に基づく同化作用の減弱・循環不良・脳の興奮性低下などによる症候と考えられます。具体的には、先天的な虚弱・老化・慢性病・過労・ストレス・体を冷やす飲食物の摂り過ぎなどで発生する体全体の元気が足りなくなった状態をいいます。「腎陽の気」を補うには体を温めることが肝要です。ただし、温める方法は時期に合わせて選びます。
赤ちゃんにとって優しい自然の温かさを自力で行える力を鍼灸治療で引き出す
胚移植の前は岩盤浴などでしっかり体を温めます。胚移植後は、初めての岩盤浴なら体が慣れていないので、刺激過多になるのでおすすめしません。移植後は自身の力を高めて、自然に体が温まるようにするべきです。ヨガは骨盤内の血流量が増え子宮の働きが良くなります。腹圧をかけずゆったりとしたヨガを行いましょう。鍼灸治療では、「腎気」を補い、自律神経を整え、ホルモンのバランスを調整することで、本人が持っている温める力を引きだします。自然の温かさは赤ちゃんにとっても優しいのでおすすめです。日常生活では以下のようなことを心がけましょう。
① 栄養バランスのとれた食事を摂る。
② 冷たい飲食物を摂らない。寒い場所に長時間居ない。
③ 気持ち良い気温の時に軽い散歩をする。
④ 睡眠をしっかりとり、規則正しい生活を送る。
⑤ ストレスや不安をやわらげるリラックスタイム。
⑥ 風邪やインフルエンザなどに感染しない対策を。
以上のことを、穏やかな落ち着いた心持ちで行なっててみてください。
中村 陽先生
二松學舍大学卒。東海医療学園専門学校卒。日本不妊カウンセリング学会会員。日本受精着床学会会員。2000年CARE ROOMS開業。東洋医学に加え、酸素カプセル・ゲルマニウム温浴・光線療法・自律神経測定など、多角的に妊娠しやすい体作りを行なっています。