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初めての人もこれを読めば安心! 徳岡先生の不妊治療AtoZ (4)

コラム 不妊治療

初めての人もこれを読めば安心! 徳岡先生の不妊治療AtoZ (4)

事前に知識を少しもっていれば、先生の話もスムーズに入ってきて治療を進めやすくなるでしょう。そこでとくおかレディースクリニックの徳岡晋先生に不妊治療のAtoZを教えていただきます。

2017.11.13

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Lesson4(最終回) 男性不妊について


徳岡 晋 先生(とくおかレディースクリニック)




 


初めて不妊治療をしようとする人は、どんな検査を受けるのか、どんな治療をするのか、不安がいっぱいだと思います。事前に知識を少しもっていれば、先生の話もスムーズに入ってきて治療を進めやすくなるでしょう。そこでとくおかレディースクリニックの徳岡晋先生に不妊治療のAtoZを教えていただきます。


不妊カップルの約半数は男性側の原因です


 


前回までの3回にわたり、不妊治療の検査から高度生殖医療までをひと通りご説明しました。シリーズ最終回となる今回は、男性不妊の治療についてお話ししたいと思います。

WHOが行った調査から、「男性のみに原因」「男女両方に原因」をあわせると、48%が男性に不妊の原因があるという結果が出ています。調査によって幅 がありますが、日本受精着床学会でも男性不妊の割合は30~40%と発表されています。

以前は不妊というと、女性だけに原因があるように思われていましたが、今は男性にも原因があるという認識がかなり高くなっています。当院でも、女性一人で初診に来られる方は約4割で、半数の方がご夫婦で来られます。男性お一人で来られる方も1割います。「検査は夫婦どちらも受けるべき。男性にも治療が必要なことがある」という認識は広まっていると感じます。20年前と比べると男性の意識は、着実に上がっていると思います。


男性不妊のほとんどが精子の異常によるもの


 


男性不妊は女性よりも原因が明確で、ほとんどの場合が精子の異常によります。乏精子症は精液中の精子の数が少なく、無精子症はまったくいない症状です。精子無力症は精子の運動率が悪いというもの。精子不動症は運動精子がまったくいないというものですが、このケースは少ないですね。精子奇形症は正常な精子が少なく、形に異常がある精子が多いというものです。これらを合わせると、男性不妊のうちの6~7割が精子の異常になります。

これらの症状が起こる原因の一つにホルモンの分泌異常があげられます。女性がFSH、LHの作用で卵子が育つように、男性もFSH、LH、テストステロンの作用で精巣細胞から精子がつくられます。精子の異常はホルモンの分泌が乱れているために造精されない場合と、産生工場である精巣の働きが悪いという場合があります。

膿精液症というのは、精子ではなく、精子の周りにある精液の異常になります。血液でいうと赤血球などの血球と血漿で、血球に当たるのが精子、血漿が精漿という精子を保護している液体になります。その液体を産生する腺が精嚢腺や前立腺にあるのですが、ここがクラミジアや細菌に感染し前立腺炎などを起こすと、精液中の白血球の数が増え、受精率が低下します。ムズムズするような自覚症状でわかることもあります。

そのほかには精子を運ぶ通路の異常がある精管通過障害があります。通りが悪いと乏精子症に、完全に詰まっていると無精子症になります。逆行性射精といって、精子が膀胱に入ってしまうという方もいらっしゃいます。またEDなどの性交障害も男性不妊の一つです。


男性不妊の検査の第一歩は精液を採取することから


 


男性不妊の多くが精液の異常なので、必ず精液を調べる検査を受けていただきます。精液はクリニックにある採精室で採っていただくこともできますが、外にいる人が気になってしまったり緊張感があったりで、時間がかかることも多いです。ですので、ご自宅で採精して奥様に持ってきていただくという方法でも大丈夫です。

検査の結果をWHOの出している基準値と照らし合わせて、精子の数、運動率、奇形率、濃度の2つ以上が異常値となった場合、再度検査をします。

また、その時に精巣検査を行うことがあります。これは睾丸の容積を触診で調べる検査です。医師が睾丸をつかみ、容積メーターと比較して大きさを測ります。12~20 mlまでの大きさが正常形態です。睾丸の大きさは精子をつくる機能と関連していて、無精子症の場合は睾丸も小さい人が多いのです。精子無力症も睾丸容積が原因のことがあります。過去にスポーツや事故で睾丸を強く打ったことがある人は、片方の睾丸がないということもあります。しかし、もう片方があれば子どもをつくれる可能性は十分あります。

さらにホルモン値の検査を行います。ホルモン値に異常がある場合は薬で調整していくことになります。


薬物治療から手術まで治療は症状に合わせて


 


精子の状態が良くない場合、当院ではまず漢方薬から試してもらいます。よく処方するのは補中益気湯(ホチュウエッキトウ)です。あとは八味地黄丸(ハチミジオウガン)。これらを毎日飲んでいただき、状態が良くなるかをみていきます。半分くらいの人は効果が出てきます。

ホルモン値が低い人にはクロミッドⓇを処方します。女性の場合は5日間、長くても10日間の服用ですが、男性の場合は生理周期がなく精子は日々産生されるので、毎日1錠を1カ月単位で飲んでもらい、FSHを上げることを目指します。

精子の状態が悪くないのに妊娠しない場合や、射精障害がある方はまず人工授精を行います。それで結果が出ない場合、または精子の状態が悪い方は体外受精、顕微授精を行っていきます。乏精子症、無精子症などの場合も、精巣上体から精子を採取するPESAや、手術で回収するMESA、直接精巣から精子を採取するTESEなど精子を採る方法はあります。顕微授精は状態の良い精子が1匹あれば行うことができるので、男性不妊のほとんどの方に対応する治療法があると考えていただいて大丈夫でしょう。


 



 



1枚の葉っぱからたくさんの小さな子株ができるマザーリーフ。別名・子宝草と呼ばれる縁起の良い植物です。クリニックではご希望の患者さんに子宝草の葉をお分けしています。



 


 





男性不妊治療のまとめ


●不妊夫婦の約半数は男性側にも原因がある
●検査の第一歩は精子を採取するところから
●男性不妊は原因が限られているので、治療方法も明確



 


 



[無料]気軽にご相談ください

 



お話を伺った先生のご紹介





徳岡 晋 先生(とくおかレディースクリニック)


防衛医科大学校卒業。同校産婦人科学講座入局。自衛隊中央病院産婦人科勤務後、防衛医科大学校医学研究科に入学し、学位(医学博士)取得。2005年、とくおかレディースクリニックを開設。週3回4キロのジョギングを続けていらっしゃる先生。お顔も体もスッと引き締まり、ますます素敵になられました。そしてついに10キロマラソンにエントリーされたそう! 「11月26日の目黒シティマラソンに出ます。もう引けないので頑張りますよ」。応援しています!


≫ とくおかレディースクリニック



出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.36 2017 Winter
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