漢方・鍼灸をもっとよく知って体の調子を整えよう!
症状が1つの部位に限られていても、病気だけを診るのではなく体全体を診て治療する中医学。
私たちになじみのある西洋医学とは、まったく異なる理論体系に基づく中国の伝統医学です。
こちらの先生方にうかがいました
張 樹英先生
中医師
中医不妊症アドバイザー
上海中医薬大学医学部卒、
「中国漢方普及協会」専任講師として活躍中。
山口 昌子先生
薬剤師
中医不妊症アドバイザー
北里大学薬学部卒業。国際中医専門員。
婦人科疾患等カウンセリング力を活かし活躍中。
岡田 陽子先生
鍼灸師
中医不妊症アドバイザー
早稲田医療専門学校鍼灸科卒業。
不定愁訴の治療のほか鍼灸治療での子宝治療に力を入れている。
中国で行われている伝統医学が中医学
伝統医学とは2000年以上の長い歴史の中で得た「経験の蓄積」を根拠とする経験医学です。
ただし中医学は、この経験医学に「気血学説」「陰陽学説」「五行学説」という3つの古代哲学が
理論の支柱になっています。
つまり、私たちになじみのある現代医学とは、まったく異なる理論体系に基づく医学です。
病名ではなく「証」に基づいて治療する
中医学の特徴の1つは、疾病によって体に表れたさまざまな症状だけでなく、
顔色、舌、脈などの状態から総合的に考える「証」を基に治療法を決めます。
さらに中医学の特徴としてあげられるのが「未病」を治すという考え方です。
未病とは病気の前段階で、何となく調子がすぐれない、体がだるい、イライラするなど、
いわゆる不定愁訴などで、予防対策が必要な状態のことです。未病の状態を分析
することで個々の体質に合わせた予防法が確立されています。
病気に対するアプローチがまったく違う
どちらが優れているということではありませんが、西洋医学と中医学では医学の成り立ちが異なるため、
病気へのアプローチも違います。
西洋医学は病気に対して、臓器や細胞レベルまで細かく診て、検査データを重要視します。
また、体質よりも、症状・検査データに対して治療を行います。
得意なのは、急性疾患、外傷、救急疾患、検査で分かる疾患、外科手術などで、体に不要なものを取り除くことです。
一方、中医学は、病気を体全体、さらに成育環境や季節までもふくめて、体質の形成を重視しながら原因を追求し、
中医学の証に合わせて診ます。病名ではなく、主に体質と症状を組み合わせて治療を行います。
得意なのは、慢性疾患、不定愁訴、虚弱体質、ホルモンの失調、免疫の異常、老化現象などです。
保険適用の漢方薬では充分な治療ができないことも
漢方薬が厚生省( 現・厚生労働省)から健康保険の適用認可がおりたのは、1976年のことです。
しかし、健康保険の適用は147種類の漢方に限られています。
これは漢方薬全体の1、2割程度。ですから体質、症状によっては
保険適用の漢方薬だけでは治療できないこともあります。
漢方薬は、同じ種類の生薬の組み合わせでも、服用する人の体質や症状により、
その配分を変えるなど加減も違ってきます。保険適用になっているものは既製品なので、
細かい調整は難しいのです。
保険適用外であれば、一人ひとりに合ったオーダーメイドの漢方薬を処方することが可能です。
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監修:誠心堂薬局