「私って妊娠しづらい体質なのかしら?」と気になりだしたとき「自然界の動物や植物からできている薬だから身体に優しそう」と、漢方薬での体質改善を考えたことはありませんか?
漢方薬はとても奥が深い薬なんです。漢方薬は東洋医学に基づいて作られている薬です。より効果的に東洋医学で妊活するために、ちょっとだけ、東洋医学について知識を深めてみませんか?
東洋医学と西洋医学の違いを知っておく
まず、東洋医学と西洋医学。あなたはその違いがわかりますか?どちらが優れているということではありません。そもそも医学の成り立ちが異なるし、病気へのアプローチも違いますから‥‥。
西洋医学は解剖学や生理学といった、科学的に人の体を捉えるのが特徴。身体の細胞レベルまで細かく診て、検査データを重要視し、その結果をもとに治療します。だから、検査に現れない不調は病気ではないとなります。急性疾患、検査でわかる疾患、外科手術などで、体に不要なものを取り除くなどが西洋医学の得意なこと。
一方、東洋医学は人の体は全身が関連していると考えます。その病気がその部分だけの問題なのか、身体全体のバランスの乱れが原因か、さらに生まれ育った環境や季節までも含め、さまざまな視点から病気を追求していきます。病院の検査では異常が現れない〝不定愁訴〟についても、自己治癒力を高めることで改善できるという考えが基本。
つまり病名じゃなくて、体質と症状を組み合わせて治療するんです。得意なのは、慢性疾患、不定愁訴、虚弱体質、ホルモンの失調、免疫の異常、老化現象など、どれも西洋医学では原因がわからないようなものです。
東洋医学は自然のものに目を向けますから、和漢薬、温灸、マッサージ、鍼、アロマなどで治療を行います。
成分を調べるとかではなく、体全体のエネルギー(気・血・津)がスムーズにうまく流れていくのかを調べます。全身によく回っていれば健康だし、滞ると体調不良になると考えます。
ですから、その人、その人の状態に合わせた、オーダーメイドの治療を行うのです。
西洋医学に東洋医学を取り入れるのが世界的傾向
東洋医学と西洋医学は相容れないように思えますが、最近は併用することでより効果的な不妊治療が行えることがわかってきています。
例えば、オレゴン・カレッジの和漢薬治験審査委員会は、不妊治療と合わせて東洋医学(生薬や漢方、鍼治療など)によるアジュバント療法(補完療法)を行ったところ、体外受精における受精卵移植の成功率を高めたと発表しています。
さらにノースウェスト・センターは、不妊治療と合わせて東洋医学療法を受けた不妊治療患者の体外受精における出生率は85.7%だったのに対して、不妊治療のみを受けた患者の体外受精における出生率は62.5%だったと報告しています(調査対象は患者自身の卵子、提供卵子による体外受精で、凍結卵子による体外受精は除かれています)。
このように体外受精と合わせて東洋医学療法を施すことで、体外受精の成功率は高まることが立証され、世界的に東洋医学を取り入れる傾向になってきているといっても過言ではないでしょう。
東洋医学の不妊治療は健康保険がきかないので自費となります。若いご夫婦が妊活するのは経済的な面でストレスになることもあります。そのときは可能な範囲で治療をおこなえばいいのです。
妊活はストレスとの戦いともいえます。赤ちゃんを望むなら、どのような生活にしたらいいのか、それを考えて日常を見直すだけで薬になるのです。そして妊活期間を6か月から8カ月とはっきり期限を決めると、ストレスは軽減されます。
無理をせず、できることから始めていきましょう。