黄体ホルモンの不足は 流産の一因になる?
コラム 不妊治療
黄体ホルモンの不足は 流産の一因になる?
「病院に電話したら「今回はAIHではないので必要ない」と。黄体ホルモンの不足は流産の一因になると聞いたことがあるのですが、本当なのでしょうか?」
相談者:maiさん(37歳)からの相談
▶黄体機能不全と初期流産
先日、2度目のAIHが台風の影響でできず、タイミング法に切り替えたところ、病院で妊娠の陽性反応が出ました。しかし数日後、胎のうが確認できないまま出血し「初期流産かも」といわれました。また4日後に病院へ行く予定ですが、現在、出血量も増え、もうダメだろうと諦めています。しかし、1つ疑問があります。黄体ホルモンが不足しているとの診断を受け、半年程前からHCGとデュファストン®を処方されていたのに、今回デュファストン®が出されていなかったのです。病院に電話したら「今回はAIHではないので必要ない」と。黄体ホルモンの不足は流産の一因になると聞いたことがあるのですが、本当なのでしょうか?
黄体ホルモンが不足すると妊娠しづらかったり、流産の原因になるのでしょうか。
黄体ホルモン(プロゲステロン)は、着床や妊娠の維持に欠かせない女性ホルモンです。妊娠が継続できない=流産の一因になるといえるかもしれません。
黄体期(高温期)の中期で採血をして、黄体ホルモンの値が10 ng/ml以下の場合、黄体機能不全という診断になるので、そのような場合は薬で黄体ホルモンを補充していきます。薬にはmaiさんが処方されているデュファストン®という飲み薬、坐薬や腟剤のほか、HCG注射も黄体機能を賦活する作用があるので、機能不全の状態や程度によって、どのような形で補充するか決めていくことになるかと思います。
お薬を使っていけばほとんどの場合、黄体ホルモンの値は上がっていくので、心配されることはないでしょう。
今回、デュファストンⓇを処方されなかったから流産に至ったのではないかと疑われていますが。
確かにデュファストン®は妊娠しやすいように黄体ホルモンを上げる手助けになりますが、飲まないから流産したということはないと思います。残念ながら流産という結果になりましたが、妊娠されたということなら、補充しなくても黄体ホルモンはしっかり上がっていた可能性が高いですね。
排卵誘発剤を使ってずっとエストロゲンの値が高い状態だと、黄体ホルモンとエストロゲンの比が変わってきてしまうので、黄体ホルモンを補充したほうがいいのですが、自然周期だとエストロゲンの値はそれほど上昇しないので補充の必要はありません。ですから、担当医の先生は「今回はAIHではないので必要ない」と判断されたのではないでしょうか。
maiさんの年齢だと、どこにも異常がなくても約20%、10人のうち2人が妊娠しても流産してしまいます。黄体ホルモン補充をしなかったというより自然流産の可能性が高いので、ここで立ち止まらず、次に向けて頑張っていただきたいですね。
黄体ホルモン補充は今後も続けたほうがいいですか?
黄体ホルモンは周期によって変動することもあるので、心配なら毎月測定してもらうこともできると思います。
maiさんは一度測って黄体機能不全の傾向が見られたようなので、ずっと補充をされているのでしょう。長く服用しても体に悪い影響はないので、このまま補充を続けていってもいいのでは。
病院側も最善の方法をとっていると思いますが、モヤモヤが残るようなら疑問点をきちんと聞いて、治療の希望があれば申し出てもいいと思います。先生としっかりコミュニケーションをとって、納得できる不妊治療を受けていただきたいですね。
Doctor’s advice
●黄体ホルモンは妊娠の維持に必要。足りないと流産につながることも。
●自然周期で妊娠したのなら、黄体ホルモンはしっかり上がっていたはずです。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.37 2018 Spring
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