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LUF(黄体化未破裂卵胞)は どんな人に起こりやすい? 対処法は?【特集:排卵障害の不妊治療】

専門医Q&A 不妊治療

LUF(黄体化未破裂卵胞)は どんな人に起こりやすい? 対処法は?【特集:排卵障害の不妊治療】

卵胞が成熟しても排卵せず黄体化してしまうため妊娠に至らないLUF。予防や改善の方法はあるのか、生田先生に伺いました。

2018.5.20

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卵胞が成熟しても排卵せず、そのまま黄体化してしまうため、妊娠に至ることができないLUF。
どんな人に起こりやすいのか、予防や改善の方法はあるのか、
いくたウィメンズクリニックの生田克夫先生にお話を伺いました。


※2018年5月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.38 2018 summer」の記事です。





相談者:らんらんさん(30歳)からの相談


▶ LUF(黄体化未破裂卵胞)についてお聞きしたいです。


不妊専門外来に通って3カ月です。タイミング法を行い3周期目の今回、排卵チェックでLUFと診断され、子宮内膜症もあると先生から告げられダブルショックです。左卵巣にシスト、16mmの卵胞が2つあると言われていて、その1つが25mmになっていたそうです。もう片方が排卵している可能性はないでしょうか? 「LUFが続くようなら体外受精も考えてください」と言われましたが、この時点でステップアップするのは普通なのでしょうか?






Doctor’s advice


〜子宮内膜症を治療しても改善策にはならない〜

LUFは子宮内膜症そのものというより、それに伴う癒着によって起こります。内膜症は治療をしても再発の可能性が高いため完治は難しく、LUFの起こる頻度は下がらないので、最終的な妊娠方法は体外受精になりますね。




お話を伺った先生のご紹介

生田 克夫 先生(いくたウィメンズクリニック)


名古屋市立大学医学部卒業。名古屋市立大学産科婦人科学教室助教授、名古屋市立大学看護学部教授などの経歴を重ねたが、不妊に悩む名古屋の方たちの役に立ちたいという思いで、教育者の立場を辞して独立。地元・名古屋の中心部、栄に開院し、1986年から体外受精の現場を歩いてきた経験と穏やかな人柄で、数多くの患者さんを妊娠に導く。

≫いくたウィメンズクリニック

LUFであるかどうかの診断は難しく、見間違えることも


らんらんさんは今回、16㎜の卵胞が2つあって、その1つが25 ㎜になっていたということですよね。16㎜でめったに排卵は起きないので、20 ㎜近くになって排卵したのではないでしょうか。もしくは23 ㎜とか24 ㎜まで育ってL Hサージが起きたのかもしれません。要するに、黄体の中期ぐらいに調べて20 ㎜くらいの袋が残っている場合、そのサイズのところで卵胞が破裂(排卵)したということなので。
たとえば20 ㎜でL Hサージが起きたとしても、それですぐに排卵するという保証は何もありません。卵胞の壁が硬ければ、しばらく大きくならないと破裂しません。それで25 ㎜ぐらいになって卵胞が破裂するということも。排卵後の卵胞は黄体化し、最終的には消失しますが、また破裂した穴が塞がって水が中に溜まってくると25 ㎜ぐらいの大きさになって黄体中期に超音波で見えることは普通にあります。だからこれはLUFではないと思いますね。



 



卵胞の壁が硬いと、排卵まで時間がかかることがあります


何もお薬を使っていなければ20 ㎜ぐらいでL Hサージが起きます。それがたとえば35 ㎜ぐらいの大きさになっていたら、おそらく破裂してないんだろうと思います。たまにそのくらい大きくなるまでなかなか破裂孔が開かず、やっと排卵するということもあるわけです。すると、卵胞は破裂するといったん潰れます。破裂孔が塞がると、その中に水や血液が溜まって膨らんできます。黄体中期で見た時の卵胞の大きさは、排卵した時のサイズより大きくなることはないのです。だからあまりにも大きければ、破裂せずに膨らんでしまったものだろうという気がします。
 L Hサージが起きると、卵胞壁の顆粒膜というところがヒアルロン酸をつくって卵子を壁から浮かせてきます。ヒアルロン酸がどんどん水を引いて膨らんできて中の体積が少し増える感じになります。中からの圧力が高まるのと酵素ができて、卵胞壁の構造を壊し始めるので壁に破裂孔が開き排卵が起きます。なかなか酵素が出てこなかったり、壁が厚くて簡単に破裂孔が開かず時間がかかると、中に水が溜まってくる一方のため大きく膨らんでしまうわけです。


LUFが起こる原因の一つは子宮内膜症


LUFそのものの頻度は、昔の腹腔鏡での診断だと7~8%ぐらいと言われていました。超音波で診断するようになってから10%ちょっとの頻度で起こるといわれていますね。子宮内膜症などがあると、確率は20%くらいに高くなります。これは癒着が起きやすいからで、本来破裂孔が開くところの向こう側に子宮や腹膜がくっついて蓋をしているからです。卵巣の周りのどこかに癒着があると、そこで膨らんだ卵胞は破裂しない可能性があります。研究をしている人はいますが残念ながら根本的なLUFを防ぐ方法や改善方法はありません。
腹腔鏡手術で卵巣周りの癒着を剝がすことはできます。しかし再癒着の頻度が高く、癒着剝離しても約6割は再癒着するというデータを出しているところもあるぐらいなので、あまりおすすめはしません。子宮内膜症は不妊症の方の2割ほど、内膜症のある方の半分は不妊症です。だからといって絶対に妊娠しないわけではないですが、非常に関連性は高いですね。


子宮内膜症がある場合は、体外受精も視野に


らんらんさんは内膜症があると診断されているので、LUFになる確率が少し高めではあるでしょうね。かなり大きな卵胞、たとえば35 ㎜くらいのものがたくさんできるようだと次の周期まで残っている可能性が高く、影響が出てくることもあります。今後ある程度様子をみて、本当にLUFが多いようであれば体外受精を考えたほうがいいかもしれないですね。
治療法はその状況により変わりますが、卵巣刺激で卵胞数を増やして、割れるかもしれない卵胞の確率を上げるのも一つ。ただ、内膜症はジワジワと進行するので、あまりのんびりやっていると、悪化することも。不妊専門外来にかかって3カ月ということですし、年齢もまだ30歳なので今すぐにということではないですが、LUFが続くようなら体外受精も考えたほうがよいかもしれません。


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