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排卵誘発剤について

専門医Q&A 女性の健康

排卵誘発剤について

2014.10.23

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さくらさん(35歳)

自然周期では排卵するのに誘発剤を使用すると卵胞は育つのに排卵しません。医師には誘発剤が排卵を抑制する因子はないと言われました。次回、注射の単位を減らしてみるかと提案されましたが、セキソビットでも排卵しなくなるのに注射で排卵するようになるのか、誘発剤自体、自分の体に良い影響があるのか疑問です。これからどのように治療を進めていけばいいのでしょうか?


お話を伺った先生のご紹介

浅田義正 先生 (浅田レディース名古屋駅前クリニック)


医学博士
日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医
日本生殖医学会認定生殖医療専門医


1982年 名古屋大学医学部卒業

1988年 名古屋大学医学部附属病院産婦人科医員として「不妊外来」および、「健康外来(更年期障害・ホルモン補充医療法)」の専門外来を担当

1992年 医学博士

1993年~1994年 米国最初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精(卵細胞質内精子注入法:ICSI)の基礎的研究に従事
The Jones Institute For Reproductive Medicine, Eastern Virginia Medical School, Norfolk, Vairginia

1995年 名古屋大学医学部附属病院分院にてICSIによる治療開始。以後、辞職まで名古屋大学の顕微授精症例の全症例を自ら担当同年5月、精巣精子を用いたICSIによる妊娠例の日本初の報告

1998年 ナカジマクリニック不妊センター開設

2004年 浅田レディースクリニック(現浅田レディース勝川クリニック)開院

2010年 浅田レディース名古屋駅前クリニック開院

2018年 浅田レディース品川クリニック開院


【著作本】
「浅田レディースクリニック パーフェクトガイドブック」
初めての不妊治療クリニック選びに迷っている方や
当院の治療方針に興味をお持ちの方にお読み頂きたい本です。




≫ 浅田レディース名古屋駅前クリニック

まず、自然周期で本当に排卵しているかが疑問です。なぜならAMH6.44という数値からは多嚢胞性卵巣症候群の疑いがあり、多嚢胞性卵巣の人はもともとLUF(黄体化非破裂卵胞)が多く、生理はくるけれど排卵していないことが多いのです。

誘発剤が排卵を抑制することはないとのことですが、セキソビットでもクロミッドでも排卵を抑制する作用もあります。それらは、エストロゲンレセプターモジュレーターという卵胞ホルモンと似たような構造を持ち、それが卵胞ホルモンの受容体に作用して女性ホルモンが少ないと誤解を起こさせます。例えば18ミリくらいで排卵するといわれているような卵胞が、クロミフェンを使うと明らかに20ミリ以上になっても排卵しません。逆に我々はクロミフェンを使うと勝手に排卵する率が少ないので、安心して採卵ができるというメリットがあります。セキソビットも同様な性質があります。

ただ、同じ経口誘発剤でもレトロゾール(フェマーラ)という薬がありますが、これはアロマターゼ阻害剤で、卵巣でつくる女性ホルモンそのものを本当に低くしてFSHやLHが上がるため、クロミフェンやセキソビットと違って排卵を抑える作用はありません。
また、注射が排卵を抑える作用も全くありません。ですから注射の単位を減らすのは意味がないと思います。むしろクロミフェンを使う場合は自然に排卵がしにくいため、HCGを打つべきです。しかも、少し大きめになってからHCGを打った方がよく排卵します。さらに多嚢胞性卵巣症候群の場合はもともと卵が成熟しにくいので、普通の人よりもきちんと卵が成熟するのを待ってからHCGを打たなければいけません。

多嚢胞性卵巣症候群の場合は、確かに通常よりも排卵誘発にコツが必要です。クロミフェンかセキソビットがうまくいかないのであれば、レトロゾールを使ってみてはどうでしょうか。それで卵がたくさん育ちすぎるようであれば、FSHのペン型注射を50単位から打ち始めるとか。それで育たなければ50から75単位に上げてみてじっくり育てたほうが数が抑えられ、副作用も少なくなると思います。

排卵誘発剤で体に悪い影響は起こりません。クロミフェンやセキソビットも非常に有効な排卵誘発剤です。要するにその使い方の工夫が大切です。どんな誘発剤も合う合わないというよりも、卵の成長に合わせて微調整しながら使うことが大切です。


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