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多嚢胞性卵巣症候群とメトホルミン

専門医Q&A 女性の健康

多嚢胞性卵巣症候群とメトホルミン

2015.2.2

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szbebeさん(36歳)

ホルモン検査の結果、多嚢胞性卵巣症候群と診断を受け、
現在インスリン抵抗性の検査結果待ちです。

結果次第ですが、先生は糖尿病の薬でもあるメトホルミンの服用を
考えているとのことで、
排卵誘発剤の使用は考えていないと言われました。

海外在住で日本の治療方針や考え方とは違うのかもしれませんが、
年齢のこともあり、妊娠できるのか焦ります。

言葉の壁もあり、このような治療で問題ないのか、
日本の先生方の見解をご教示いただきたく、質問させていただきました。

ちなみに現在60日経ちましたが、生理がきません。。。




お話を伺った先生のご紹介

浅田義正 先生 (浅田レディース名古屋駅前クリニック)


医学博士
日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医
日本生殖医学会認定生殖医療専門医


1982年 名古屋大学医学部卒業

1988年 名古屋大学医学部附属病院産婦人科医員として「不妊外来」および、「健康外来(更年期障害・ホルモン補充医療法)」の専門外来を担当

1992年 医学博士

1993年~1994年 米国最初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精(卵細胞質内精子注入法:ICSI)の基礎的研究に従事
The Jones Institute For Reproductive Medicine, Eastern Virginia Medical School, Norfolk, Vairginia

1995年 名古屋大学医学部附属病院分院にてICSIによる治療開始。以後、辞職まで名古屋大学の顕微授精症例の全症例を自ら担当同年5月、精巣精子を用いたICSIによる妊娠例の日本初の報告

1998年 ナカジマクリニック不妊センター開設

2004年 浅田レディースクリニック(現浅田レディース勝川クリニック)開院

2010年 浅田レディース名古屋駅前クリニック開院

2018年 浅田レディース品川クリニック開院


【著作本】
「浅田レディースクリニック パーフェクトガイドブック」
初めての不妊治療クリニック選びに迷っている方や
当院の治療方針に興味をお持ちの方にお読み頂きたい本です。




≫ 浅田レディース名古屋駅前クリニック

まず、メトホルミンを多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の人に処方するのは問題ないと思いますし、内服としてのファーストチョイスはメトホルミンです。むしろ、それ以上に効くPCOSの内服剤はないでしょう。

問題は、排卵誘発剤の使用を考えていないというところです。海外ではシュタイン・レーベンタール症候群といって、肥満や多毛などの体質的症状を兼ね備えている場合が多いため、ドクターは体質改善などで排卵もしやすくなると考えているのかもしれませんが、日本人の場合、そういった症状を備えた例は少ないです。
当然、排卵しなければ不妊治療も妊娠もできませんから、少なくともクロミフェンやアロマターゼ阻害剤であるレトロゾール(フェマーラ)を飲み始めるなど、排卵誘発剤は使うべきですし、むしろ積極的に排卵誘発すべきです。

なぜなら、卵は原始卵胞から育つのに約半年かかります。ホルモン依存になってからも2、3ヶ月ほどかかります。つまり、今月排卵するためには1、2ヶ月ほどホルモンに影響を受けて育っている卵、半年前からいえば4、5ヶ月育っている卵が必要なのです。そして、今月排卵がうまくいくということは、その前からの刺激によって来月再来月の卵も少しずつ押し上げられて成熟が進んでいるということでもあり、次の月もきちんと排卵する可能性があります。ですから排卵が1、2ヶ月うまくいかなかったとしても、排卵誘発を毎月きちんと続けていくことが重要です。

また、D21で測ったPRL278mIU/Lという数値が気になります。これは妊娠中と同じ、もしくはそれよりも高いレベルの数値です。プロラクチンは、妊娠中や授乳中になるべく排卵を抑えて、次の妊娠を防ぐような作用があるホルモンですので、少なくとも何十単位くらいの数値に下げないと多嚢胞性卵巣症候群でなくても排卵しづらいと思います。高プロラクチン血症も探ってみるべきだと思います。


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