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多嚢胞性卵巣でフェマーラが効きません。漢方どうですか?

専門医Q&A 漢方・鍼灸

多嚢胞性卵巣でフェマーラが効きません。漢方どうですか?

2014.1.21

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JINEKO事務局さん(14歳)

アンケートにてお寄せ頂いたご相談について、ジネコが先生に聞いてきました。

【智さん(22歳)】
3年の不妊治療の末、1人目を初めてのフェマーラ服用の自然妊娠で授かることができました。そして9月に断乳をして即治療を始めましたが、今回は小さい卵だらけでダメでした。
『ジネコ』で話題になる多嚢胞は、「食生活を変えるとよい」のには納得です。食生活を変えて鍼灸院に通い、なるべく運動もして......。
そして漢方に興味を持ちましたが実際、多嚢胞で漢方は効果があるでしょうか? とにかく排卵までこぎつけて、治療の第一歩に進みたいです。


お話を伺った先生のご紹介

神薗克也 先生 (鍼灸治療室 翠明館)


当院に来院されている患者のうち9割以上は女性。しかも、その7割以上は不妊治療の方。一般に鍼灸治療は、腰痛や肩こりの治療と思われがちですが、実は、婦人科系や内科系の疾患にとても有効な治療方法なのですね。腰痛や肩こりで悩んでいる方と同じくらいに、婦人科系や内科系の症状で悩んでいる方は大勢います。内臓の不調からきている腰痛や肩こり、頭痛もありますので、そういう方には内臓の機能を整えないと、すっきりと治りません。特に、女性の場合は、ホルモンバランスによって多種多様な症状が現れます。

当院では、全身のアンバランスを整えていく治療をしていますので、体の様々な不調がすっきりとなくなっていきます。生理不順の延長線上に不妊症があり、さらにその延長線上に更年期障害があります。生理を整えることが、すなわち女性の健康を保つポイントなのですね。是非一度、体に優しい自然な治療方法の鍼灸治療をお試しください。



≫ 鍼灸治療室 翠明館

東洋医学的に多嚢胞性卵巣症候群(PCOS) になりやすい体質の方は、生殖機能と密接な関係のある腎気が弱っている「腎虚」、消化機能が低下をしている「脾胃虚」、貧血やめまいがある「血虚」、月経痛がつらく肌荒れがある「瘀血」、不安感や不眠、イライラ感の強い「気滞」があると考えます。

不妊症の方は基本的に「腎虚」体質が多いので、まずは腎気を補うことが大切です。
一人目の出産で腎気がかなり消耗しているところに育児が加わり疲労が蓄積しているので、消耗した腎気を戻すことが困難な状況になっているようです。
腎気を戻すためには食事は豆類を積極的に摂ることです。
また、睡眠も大切です。育児で睡眠時間を確保するのは難しいと思いますが、夜の寝不足は30分くらいの昼寝でカバーしましょう。
PCOSの診断基準は、①月経異常、②多嚢胞性卵巣、③血中の男性ホルモン高値またはLH基礎値高値かつFSH 基礎値正常 ( 日本産婦人科学会の診断基準による) のすべてを満たす場合となります。
漢方薬で改善効果が期待できる項目は、③の男性ホルモン値やLHの値を改善し、ホルモンバランスを整えることです。
そしてその効果が一番期待できるのが、温経湯という漢方薬です。
温経湯は不妊治療でよく使用される漢方薬で、経絡を温める効果があります。

ほかにも温経湯には、脾胃の弱い体質、血液の不足している血虚、血液循環の悪い瘀血も改善してくれます。
つまりPCOSの人が持っている症状をすべてカバーする漢方薬と言えます。
また、東洋医学的な体質に当てはまらない、PCOSの人にも効果があることが実証されているので、安心して服用できます。
男性ホルモンが高いタイプの人には、芍薬甘草湯もおすすめです。
筋肉の痙けいれん攣や痛みの症状に効果があることで知られている漢方薬ですが、男性ホルモンやプロラクチンの値を下げる効果が実証されています。
智さんがどのタイプのPCOSかわかりませんが、よくタイプを検査した上で漢方薬を試してみてください。


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