不妊治療で必要な検査/コウノトリ生殖医療センター
コラム 不妊治療
不妊治療で必要な検査/コウノトリ生殖医療センター
近年、日本からの患者も増加している台湾。現地ではどのような治療を行っているのか、コウノトリ生殖医療センターの賴興華先生にお話を伺いました。
不妊治療で必要な検査
何回もの採卵手術を行い、胚培養し、やっと胚盤胞になりましたが、移植手術を何度行っても妊娠に至ることができません。何度も同じ道を繰り返すのは、本当に辛いでしょう。
子宮着床の環境の問題がないかどうか確認し、妊娠の原因となるものを取り除き、優れた胚盤胞を移植します。貴重な胚盤胞を無駄にしないため、移植する前に、検査をすることを推奨致します。
これから当院で必要な検査をご紹介いたします。
(1)子宮鏡検査
女性の子宮は胚盤胞が着床をして発育をする場所なので、子宮の環境が一番大切です。不妊症や早期流産、涸死卵、習慣性流産などは、子宮内のポリープ、癒着、筋腫、子宮頸管の狭窄など、子宮環境が着床に適していなかったことも原因として挙げられます。以上の状況がある場合は治療が必要です。
(2)卵管造影検査
体外受精では、卵管の閉塞は妊娠と無関係なのでは?と思われるかもしれません。しかし、水腫が原因で卵管閉塞が発生している場合は体外受精か卵子提供であっても妊娠率が目に見えて低下します。理由として以下の2つが挙げられます。
(1)卵管に溜まった水が子宮内に流れ込み、胚盤胞を流してしまう。
(2)水腫の箇所で発生した炎症の原因となる物質が子宮内にも影響を及ぼし、胚盤胞の着床を妨げる
原因を取り除けば、妊娠率は25-50%あがります。
(3)子宮頸部の生検
例として、子宮内膜ポリープや卵管の癒着、閉塞、水腫などの症状があります。
慢性的な症状は妊娠率を下げると共に、子宮外妊娠の原因となってしまうこともあります。
また、胚盤胞の移植時にも炎症の原因となる物質や細菌、ウイルス等が存在していると胚盤胞に影響を与え流産の原因となります。よく見られるのはクラミジア、細菌、ヒトパピローマウイルスです。胚盤胞を移植する際に子宮頸部を通しますので、子宮頸部に細菌やクラミジアがあるかどうかチェックしておきましょう。
(4)自己免疫異常の確認
一般的に免疫機能とは異物に対して人体が備えている防衛機能です。体内に侵入したウイルスや細菌などを攻撃して身体を守ってくれます。しかし、免疫機能が正常に働かなかった場合は胚盤胞を外から侵入した異物として攻撃してしまい、着床率の低下や流産率の上昇を招いてしまいます。採血検査により、これらの免疫系の異常を調査することができます。異常が発見された場合、免疫機能の治療には長い期間が必要となります。なるべく早い時期に検査を受けられることをおすすめいたします。
・女性の年齢と卵子