【40代の不妊治療】低AMH、高FSHでも不妊治療を続けたい。できる限りの対処法は?
コラム 不妊治療
【40代の不妊治療】低AMH、高FSHでも不妊治療を続けたい。できる限りの対処法は?
3年間でFSHの値が上がってしまい危機感を覚える40歳。あと1〜2年はやると決めた不妊治療で、最善を尽くすには? FSHの値を下げられる? 厚仁病院の松山先生にお聞きしました。
※2019年5月24日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.42 2019 Summer」の記事です。
- helenさん(40歳)からの相談
相談内容 - 37歳から不妊治療を考えタイミング法を行っていました。昨年は高温期が20日くらい続いたことが2度ほどありましたが、妊娠に至らず、人工授精に移行。MRI検査等も済ませてクロミフェンを使用しましたが、卵胞の確認ができず血液検査をしたところ、FSHの値が78.2mIU/mlまで上がっていました。カウフマン周期を3カ月とってもFSHは62.7mIU/ml。不妊治療を始めたころはAMH0.1ng/ml、FSH10mIU/mlくらいでした。これまでチョコレート囊腫腹腔鏡手術を行ったことがあり、子宮筋腫も2〜3個ありますが、不妊治療については問題ないと医師から言われています。あと1〜2年は不妊治療を続けたいと思うので、できることがあれば教えてください。
●これまでの治療データ
【検査・治療歴】3タイミング法、人工授精、チョコレート囊腫腹腔鏡手術、AMH0.1 ng/ml、FSH62.7〜78.2mIU/ml
【不妊の原因となる病名】特になし
【精子データ】問題なし
【サプリメントの使用】なし
- Doctor’s Advice
- ●卵巣予備能を改善する方策の相談を。
●生殖鍼灸・LLLTで血流・代謝改善を。
●併せてサプリメントの活用も。
ーーFSHの値の見方について教えてください。
FSHは脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモンのことです。卵巣の力をみるためにFSHを測ることは時々あるのですが、値が高いということは卵巣が働いていないことを意味しています。今回は、卵胞の確認ができなかったので検査をしたら、FSHが高かったので卵巣が機能していないことがわかった、ということですね。
リセットするためにカウフマン周期を3カ月とったと思うのですが、FSHは62・7 mIU/mlなのでやはり高い値のようです。
ーー不妊治療を始めたころはAMH 0.1 ng/ml、FSH 10 mIU/mlくらいだったのが、ここ3年でFSHの値が78・2 mIU/mlにまで上昇。これは何を意味するのでしょうか。
FSHの正常値は閉経以前の場合、10 mIU/ml以下と言われています。FSHの値が高いということは、それだけ下垂体から命令が出ているにもかかわらず、卵胞が発育しにくいということになります。目安としてはだいたい20 mIU/mlを超えると卵巣機能が低下している可能性があると言われています。
helenさんの場合は、たまたまFSHが高かったのか残念ながら閉経に向かっているのかは、現在の情報からは断言できません。閉経年齢は一般的に50歳前後と言われていますが、個人差があり、早い人で40歳台前半、遅い人では50歳台後半に閉経を迎えます。また、FSHが高い方が、今後もずっと高いままであるとは言い切れないこともあります。ただ、現状ではFSHがかなり高い状態なので、FSHをある程度まで下げることによって卵巣機能の回復を期待したいところです。
ーーでは、FSHを下げる方法はありますか。
対処法としては一般的にカウフマン周期をとることなどでFSHの値をある程度低下させるようにしていきます。
ーー年齢的にも、早く体外受精に進んだほうがいいのでしょうか。また、低刺激ではなく高刺激を行うと結果は変わりますか。
40代からの不妊治療ということで、すぐにでも体外受精にトライすべきだという話をよく聞きます。たとえば、人工授精がうまくいかない場合は、ピックアップ障害などの卵管機能障害が考えられますので、体外受精に進むと妊娠する確率が上がるかもしれません。
しかしhelenさんは今のところ卵巣がうまく機能しないために卵胞が育たないので、まずそこから解決しなければなりません。卵巣予備能がある程度あれば体外受精の際に高刺激も可能かもしれませんが、いつも卵胞が育つというわけではありません。卵巣予備能を改善したいところです。
ーーでは、現在の状況でこれからできることはあるのでしょうか。
卵巣予備能の改善の為にはFSHレベルを下げていきたい。そのために当院ではまず、卵胞ホルモン製剤を続けて服用していただき、卵胞の発育状況を確認しつつ、卵胞が発育してきたらタイミング等をとっていただいています。育ってきた卵胞に対して体外受精ー胚移植を提案することもあります。
当院ではサポートする療法として統合医療を取り入れています。具体的には生殖鍼灸・低反応性レーザー(LLLT)・遠赤外線療法等で血流・代謝改善を目指しています。加えて葉酸・ビタミンDを始めとする妊娠にとって有利と言われているサプリメントの摂取も併せて提案しています。
主たる治療はもちろんのこと、統合医療を併用することにより卵胞の発育ひいては妊娠成立を期待したいです。
- 先生から
- まずは卵巣予備能を改善し、統合医療も併用しながら卵胞の発育や妊娠を期待したいです。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.42 2019 Summer
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