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多囊胞性卵巣ぎみです。適した刺激法、戻し方は?

コラム 不妊治療

多囊胞性卵巣ぎみです。適した刺激法、戻し方は?

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2019.9.11

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※2019年8月24日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.43 2019 Autumn」の記事です。


チワワさん(35歳)からの相談
▶初体外受精
2人目不妊治療中。先日、初めての採卵をしました。生理不順はありませんが、PCOぎみで33歳時のAMH値は7ng/mlです。ロング法で採卵し、振りかけで22個採卵中、10個正常受精、3個異常受精、7個は未受精、2個は未成熟卵でした。7個も未受精というのは多い? 未成熟なのは卵子の問題ですか? 凍結は8細胞期を3つ、5日目で胚盤胞までいったのは1つのみ。明日が6日目なので、あといくつが胚盤胞になるか。最高でもあと2個といわれています。この成績は平均以下ですか? 移植は自然周期とホルモン周期、どちらのほうがいいでしょうか。

まとめ
●クロミフェン+HMGで少数精鋭、卵子を確実に育てていく方法を。
●排卵時期が予測しにくいPCOの人はホルモン補充周期がおすすめです。

お話を伺った先生のご紹介

永井 泰 先生(永井マザーズホスピタル)


東京医科大学医学部卒業。産婦人科・麻酔科認定医。1989年、埼玉県三郷市に開院。さらに環境を整え、よりよい医療を提供するために、2015年に診療所から病院へ改組。産科、婦人科をはじめ、不妊治療、形成・美容外科、小児科と、女性が生涯かかわる総合的な医療を、温かく、優しい環境の中で提供。


≫ 永井マザーズホスピタル

初回の体外受精はロング法で採卵したそうですが、その結果についてどう思いますか。


AMH値が7 ng/mlということですね。同年齢の平均値と比べたら少し高めなので、やはりPCO(多囊胞性卵巣)ぎみなのだと思います。
PCOぎみの人の場合、卵子はたくさん採れても、一つひとつがしっかり成熟していない場合が多いようです。チワワさんも正常受精が採卵数の半数以下でやや確率が低いように感じますが、受精卵を3つ凍結できて、胚盤胞までいったものもあるということですから、それほど悪い結果ではないと思いますね。


こちらのクリニックでもロング法を最初に選択されますか。


ロング法だと卵胞がたくさんできすぎてOHSS(卵巣過剰刺激症候群)になるリスクが高まるので、最初に選択することはないと思います。
 また、これまでの私の経験だと、PCOの方は強い刺激を続けていると、その刺激に対してだんだん反応が悪くなってくることが多いようです。ですから、漫然とロング法を続けていくのはおすすめできませんね。
卵子の数をたくさん採ることだけが体外受精の目的ではありません。1個でもいいから質のよい卵子が採れれば、それが妊娠へとつながります。
 当院だったら、次は卵巣刺激法を変えると思いますね。それほど重症なPCOでなければ、クロミフェン+HMGの方法をご提案します。卵胞が14mmとか15mmの大きさになった時に注射で少しずつ刺激を加えていきます。数は3、4個を目指し、少ないけれど確実に育てることを狙っていきます。年齢がまだ30代なので、よいものが採れる可能性は十分あるのではないでしょうか。


移植についてですが、チワワさんのような方の場合、自然周期とホルモン補充周期、どちらで戻したほうがいいのでしょうか。


PCOSやPCOぎみの方だと排卵時期が予測できなかったり、排卵が起きていないことがありますから、自然経過をみながら移植時期を決めるというのは非常に難しい。ホルモン補充をしてホルモンの状態を安定させてから戻したほうが確実なのでは。移植のスケジュールも立てやすいと思います。
当院ではほとんどの方はホルモン補充周期で胚を戻しています。ただ、絶対というわけではなく、なかにはその方法が合わない方もいますから、うまくいかない時は自然周期で戻すなど、患者さんの状況を見ながら対応しています。
両者の妊娠率は、これまでの印象ではそれほど成績に差があるように感じません。患者さんがやりやすく、その時のベストな方法で戻せたらいいですね。


 


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.43 2019 Autumn
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