HOME > 不妊治療 > その他 > 【40代の不妊治療】AMH値が低いのは喫煙習慣があったから? 妊娠できる可能性は?
HOME > 不妊治療 > その他 > 【40代の不妊治療】AMH値が低いのは喫煙習慣があったから? 妊娠できる可能性は?

【40代の不妊治療】AMH値が低いのは喫煙習慣があったから? 妊娠できる可能性は?

コラム 不妊治療

【40代の不妊治療】AMH値が低いのは喫煙習慣があったから? 妊娠できる可能性は?

喫煙など、生活習慣がAMH値の低下を招くことはあるのでしょうか。41歳で0.54ng/mlという状態で妊娠を望めるのかどうか、秋山レディースクリニックの秋山芳晃先生に詳しいお話を伺いました。

2019.10.1

あとで読む

※2019年8月24日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.43 2019 Autumn」の記事です。


sakuraさん(41歳)からの相談
●相談内容
低AMH(0.54 ng/ml)です。低刺激療法(内服)で成熟卵胞1個。採卵1回で変性卵でした。「AMH=妊娠成立」とはいえないと説明を受けていますが、やはり、そもそも卵巣機能が低すぎるので、なかなか難しいのかなと思っています。もちろんまだ始めたばかりで、1回の採卵で可能性を否定することはしたくありませんので、次のクールを迎えるにあたり、自助努力できることがあれば取り組んでいきたいです。実は、治療を始める直前まで喫煙習慣がありました。内服治療が始まってからは一切喫煙していませんが、そういった生活習慣も影響ありますでしょうか(AMH値が低いのは喫煙が関係していると推測しています……)。


●これまでの治療データ
【検査・治療歴】AMH、FSH、LHなど女性ホルモン検査。クロミフェン療法で体外受精を1回実施。
【不妊の原因となる病名】子宮内膜ポリープ
【精子データ】問題なし
【サプリメントの使用】葉酸のサプリメントを使用。

Doctor’s Advice
●AMH値は残存卵子の数を知る目安に。
●男女ともに喫煙は不妊のリスクを高めます。
●刺激しすぎるとかえって卵子が減ることも。

お話を伺った先生のご紹介

秋山 芳晃 先生(秋山レディースクリニック)


東京慈恵会医科大学卒業。東京慈恵会医科大学附属病院、国立大蔵病院に勤務後、父親が営んでいた産科医院を継ぎ、不妊症・不育症診療に特に力を入れたクリニックとして新たに開業。

≫ 秋山レディースクリニック

ーーAMHとは? 数値を測ることでどのようなことがわかるのでしょうか。


原始卵胞という卵子のもとの細胞は胎児期に500万個程度あり、その後、減少していきます。生まれた時に100万個から200万個くらいまで減少し、妊娠する年代では10万個から30万個まで減少します。以降も減り続け、1000個程度になると閉経するといわれています。
AMH(抗ミュラー管ホルモン)とは、原始卵胞から発育していく途中の過程である前胞状卵胞から分泌されるホルモンです。AMHの値は卵巣内の前胞状卵胞の数を反映するとされており、卵巣内に卵子がどれくらい残っているかの目安になると考えられているんですね。
AMH値が高いと卵子がたくさん残っており、低いと卵子の数が少ない。すなわち卵巣予備能力が低下しているということですが、これは卵子の質を評価する指標ではありません。AMH値が低く卵子の数が少なくても、質のよい卵子があれば妊娠できる可能性は高く、逆にAMH値が高くて卵子の数が多くても卵子の質が悪ければ妊娠しにくいということになります。
「AMH値が低いから妊娠できない」と悲観することは必ずしもありませんが、値が低いと閉経が早まるという報告がありますから、治療は少し急ぐ必要があるかもしれません。


ーー41歳で0・54 ng/mlという数値はやはり低めなのですか。


年齢別でみると、41歳の中央値は1・30 ng/ml程度です。0・54 ng/mlというと44~45歳に相当する数値なので、年齢の割にはやや低い値といえますね。卵子の質に関しては、FSHなどほかのホルモンの数値を見てみないと何ともいえません。


ーー喫煙は妊よう性に関係がある? AMHにも影響があるのでしょうか。


喫煙習慣が健康を害し、妊娠にとってよくないことは明らかといっていいと思います。米国生殖医学会が不妊リスクを高める要因を示しており、それは「年齢」「不健康な体重」「喫煙」「性感染症」の4つ。このまま喫煙を続ければ、sakuraさんは少なくとも2つのリスクを抱えているということになってしまいます。
ほかにも喫煙習慣が妊娠成立に及ぼす悪影響は多数報告されていて、タールなどの有害物質によって発生した活性酸素が卵子や精子の質の低下を招き、妊娠しにくくなると考えられています。
非喫煙者に比べ、喫煙者の不妊リスクは1.6~2倍に上昇。妊娠に至るまでの期間は3~4倍になるという報告も。また、喫煙者は受精卵の輸送障害をきたしやすく、異所性妊娠(いわゆる子宮外妊娠)の頻度も高くなる傾向があるようです。
sakuraさんが危惧されている通り、喫煙者はAMH値も低下するといわれており、閉経時期は平均より2~3年くらい早いというデータもあります。
 このように喫煙は百害あって一利なしなので、やめられたのはいいことだと思いますが、ご主人はどうでしょうか。受動喫煙の害も懸念されますので、もし禁煙されるなら「ご夫婦一緒に」が鉄則だと思います。


ーー現在、クロミフェン服用のみの低刺激法で採卵されているようですが、これについてはどう思われますか。


低AMHだとロング法やショート法のような形でたくさん刺激をしても、卵子の数が多く採れることは期待できないと思います。AMHの数値と採れる卵子の数はある程度相関しているといわれていますから。クロミフェンに注射などを足していくという選択肢はあると思いますが、刺激を加えても卵子の数が増えないようであれば、あまり大量の排卵誘発剤を使用して刺激をしていくメリットはないかもしれません。
少なめの刺激を行い2~3個の卵子が得られればよしとする考え方もあるかと思いますし、刺激をしない自然周期での治療を行う選択肢もあるかもしれません。
今回の治療1回の結果で「もうダメ」と考える必要はありません。AMH値が低くても一般不妊治療で妊娠する方もいらっしゃいます。卵管や精子の状態に問題がなければ一度ステップダウンして、タイミングや人工授精で1、2回トライしてみるという選択肢もあるでしょう。


ーーほかに何かできることは?


禁煙はもちろん、これを機に食生活や運動など生活習慣を見直されてみては? また、喫煙は体を酸化させるといわれているので、アスタキサンチンやDHEAなど、抗酸化・抗加齢作用が期待できるサプリメントの摂取も試してみられたらどうでしょうか。


先生から
喫煙習慣によりAMH値が低下し、閉経が早まるという報告も。
高齢ならさらに不妊リスクが高まります

 


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.43 2019 Autumn
≫ 掲載記事一覧はこちら


あとで読む

この記事に関連する記事

この記事に関連する投稿

女性のためのジネコ推薦商品

最新記事一覧

Page
top