【Q&A】AMHが低い場合のプラノバール使用について-浅田先生
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【Q&A】AMHが低い場合のプラノバール使用について-浅田先生
AMHが低く、採卵数が少なくなってしまいます。プラノバール使用のメリットデメリットは? 浅田レディースクリニックの浅田義正先生にお答えいただきました。
相談者:匿名希望さん(39歳)
現在、採卵の前の周期です。AMHが低く、刺激をしても採卵数は2,3個です。なかなか治療がうまくいかないので転院しました。転院先でも、まずは高刺激で採卵する予定になっています。これまで、単純に卵胞数が少ないだけで、大きさにばらつきがあったりホルモン値に問題があったりしたことはありません。(ただ、基礎体温はガタガタで、低温期の基礎体温が高くなってきました。)次周期の採卵に向けて内診や血液検査がありましたが、そこでも特に問題ないといわれました。
転院先の病院では、採卵前周期にはプラノバールを2週間服用するそうです。しかし、AMHが低い場合にプラノバールを服用すると、刺激をしても更に採卵数が少なくなってしまうのではないかと心配しています。実際、体外受精を始める前に生理調整のために服用した際には、私は次の周期も基礎体温が下がらないままで不安だった記憶があります。
転院先の病院以外にも、採卵前周期にプラノバールを使用する病院はあるようですが、私のような患者でも使用してみた方が次の採卵へのメリットが期待できるのでしょうか。デメリットもあるなら、なるべくそれを回避する方法を教えて頂きたいと思っています。
刺激法について
AMHが0.52 ng/mlと確かに低いので、転院して高刺激で採卵をされるそうですが、刺激はその人の卵巣予備能に合わせた刺激を行うべきだと私は考えています。
また、私は高刺激、低刺激という言葉に違和感を感じているため使用していません。
卵巣予備能に合わせた適切な“調節卵巣刺激”と考えています。
通常は、調節卵巣刺激が中心となりますが、AMHが1.0ng/mlを下回る方の場合は普通に注射で刺激をしても、それに見合っただけの卵子が採れないため、注射が無駄になります。
そのため、当院ではAMHが1.0ng/mlを下回る方には、簡易刺激を行っています。
卵子は、生まれる前に作られ、排卵の半年前より育ち始めます。ホルモンが卵子の成長に影響を与えるのは後半の3ヶ月となりますので、育ち始める卵胞数をホルモン剤や他の方法でコントロールすることはできません。
半年前に育ってきた、卵子の最後の1ヵ月に卵巣刺激を行い、成熟卵にして採卵します。
プラノバールについて
プラノバールの使用に対して不安に思われているようですが、プラノバールは中用量のピルで、ホルモン量が非常に多く、卵巣予備能が低い人に使用すると脳下垂体が抑制されすぎてしまい、卵子の成長が悪くなってしまうことがあります。
また長期に使用すると、注射量が増えたり刺激の期間が長くなったりすることがあります。採卵の前の前周期にホルモン治療を行うのは、採卵周期のメリットがあるためです。
卵巣予備能の低い人では、前周期を作りコントロールをしてもメリットがありません。
プラノバールを使用すれば、脳下垂体が抑制され逆効果になる可能性もあります。
そのような理由から、私はプラノバールを20年以上前より使用していません。
個人的な意見ですが、参考になれば幸いです。