【特集】低刺激法【卵巣刺激の方法】
コラム 不妊治療
【特集】低刺激法【卵巣刺激の方法】
低刺激法は体や経済的に負担が少なく連続して挑戦できるメリットの一方で一度の採卵数が少ない。一口に低刺激法と言っても施設により違いがあり微妙なさじ加減で結果が変わると松山先生は言います。低刺激法のしくみからおすすめする方の傾向を聞きしました。
体にも経済的にも負担が少なめで連続してトライできる、というメリットがある一方で、一度の採卵数が少なめなのが難点の低刺激法。「一口に低刺激法と言っても、クリニックによってやり方が違いますし、微妙なさじ加減で結果が変わるのです」と、低刺激法をメインに診療を行う厚仁病院の松山先生は言います。低刺激法のしくみから、低刺激法をおすすめしたい方の傾向まで、詳しくお聞きしました。
※2020年2月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.45 2020 Spring」の記事です。
- まとめ
- ◆通院回数が少なく忙しい人も挑戦しやすい。
◆AMHが低い方には無理なく効率的な治療。
◆投与量の調整で採卵数を増やすことも可能。
利便性を求めて生まれた刺激法
排卵誘発法としてはロング法、ショート法、アンタゴニスト法といった、いわゆる高刺激法と言われる方法が主流です。しかし、毎日注射を打つ必要があるので、仕事をしながらの通院が難しいことや、刺激が強いため1周期行うと次の周期は体を休ませるなどの対応も必要でした。そうした排卵誘発のハードルをもう少し下げられないか、という理由で生まれたのが低刺激法です。
低刺激法は、月経スタート直後の検査を含めて採卵までに3〜4回ほど通院すればよいことが多く、通院回数が少ないことから経済的負担が少ない点なども大きなメリットだと思います。
当院では、基本的にクロミッドⓇを用いた低刺激法を行っております。最近ではそれを知った患者さんが相談に来られることも多いです。ただ、最初に低刺激法で行ってなかなか結果が出なかった場合に、高刺激法などに方法を変えるかどうか話し合うこともあります。
採卵数の少なさはデメリット?
低刺激法のデメリットとしてよく言われることは、一度の採卵数が1~2個程度と、高刺激法に比べて少ない点です。一度にたくさん採卵できたほうがいいのは確かです。しかし、AMH(抗ミュラー管ホルモン)が低い方の場合は、その時の卵巣予備能が低いわけですから、高刺激法で排卵誘発したとしても採卵数はそれほど多くは期待できません。しかも、高刺激法を一度行うと次の周期に休まなければならないので、時間がもったいないと思います。
一方で、低刺激法は条件がよければ毎周期連続して行うことも可能なので、AMHが低い方にとっても無理なく効率的に行える方法の一つと言えるのではないでしょうか。
卵巣機能に合わせて薬の投与量を調整
低刺激法の流れを説明すると、まず月経がスタートしてから3日目までに来院していただきAMHなどの5項目のホルモン検査を行います。月経3日目からおよそ11日目あたりまでは卵胞を育てるためにクロミッドⓇを継続して内服します。その間に2回程度来院していただき、FSHまたはHMGを注射して卵胞の成熟を促します。採卵に適した大きさの卵胞になったらHCGの注射に来院していただくのですが、GnRHアゴニスト点鼻薬を使用する場合はご自宅で行っていただけます。
低刺激法を導入してからさまざまな患者さんを診させていただいたなかで感じることは、同じ対策を講じても、その人によって出てくる結果はさまざまだということです。ですから、低刺激法には一連の流れはあるものの、当院の場合は患者さんに合わせたオーダーメイドに近い診療を行っています。前提となるのが、最初の診察で行う5項目のホルモン検査です。当院では、院内でホルモン検査を行うことが可能なため、採血後1〜2時間で結果が出ます。私が採血項目で特に重視しているのはAMHとFSHです。AMHやFSHの値を見ればその方の卵巣予備能がどれくらいなのか、ある程度推定できます。卵巣予備能が高めの患者さんには、クロミッドⓇの投与量を少し増やすなど微妙な調整をしています。
このような微妙なさじ加減で排卵誘発を行うようになってから、1人あたりの1回の採卵数がこれまで2個だったところを3〜4個まで増やせるようになることも多くなり、よい結果を出せるようになりました。ご興味のある方は、クリニックを探す際にただ低刺激法をやっているというだけではなく、その過程まで詳しく聞いたほうがいいかもしれません。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.45 2020 Spring
≫ 掲載記事一覧はこちら