採卵数、受精卵の凍結数が低下。休んで体調を整えるべき?治療を継続すべき?
コラム 不妊治療
採卵数、受精卵の凍結数が低下。休んで体調を整えるべき?治療を継続すべき?
二度の流産を経験した相談者さん。薬の副作用にも悩まされ、採卵数や受精卵の数が減っていることに焦りを感じています。いったん薬をやめて治療も休んで体調を整えるべきなのか。キネマアートクリニックの渋井幸裕先生からアドバイスをいただきます。
40代の不妊治療は年齢的な焦り、不安が伴います。二度の流産を経験したchirochanさん。最近、薬による副作用にも悩まされているうえ、採卵数や受精卵の数が減っていることにも焦りを感じているようです。いったん薬をやめて、治療も休んで体調を整えるべきなのでしょうか。キネマアートクリニックの渋井幸裕先生からアドバイスをいただきます。
※2020年2月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.45 2020 Spring」の記事です。
- Chirochanさん(42歳)からの相談
● 薬を使わず体調を整えたほうがよい? - 治療3年目。AMH値、精子の検査データは特に問題なし。生理3日目からクロミッドⓇ、8日、10日目に注射、採卵2日前にプセレキュアⓇを使用。採卵後はセフゾンⓇ・ロキソニンⓇを服用後、プラノバールⓇを12日間服用。治療1年目、3日目受精卵の移植は着床せず、次の凍結胚移植で妊娠するも、7週で流産。治療2年目も同様の経緯で流産。最近、採卵数、受精卵の凍結数が減っています。プラノバールⓇにより吐き気をもよおすなどの副作用もあり、治療を休み、薬を飲まずに体調を整えたほうがいいのか年齢的にも悩んでいます。
- Doctor advice
- ●別の刺激法を選択してみては?
●治療を休んでもタイミングはとりましょう。
●副作用があるなら担当医に相談してみて。
薬の副作用があるようです。薬と治療を休み体調を整えることについてお聞かせください
体調を整えるという意味をどのように考えていらっしゃるかによると思います。
たとえば、漢方薬などの東洋医学で時間をかけて体調を整える場合でも、半年、一年治療を休むのはもったいないと考えます。40代は時間に限りがあるので、漢方薬などと並行して体調を整えながら治療するのがよいと思います。また、プラノバールⓇによる副作用を心配されているようですね。この薬は、ホルモンバランスを整えるものですが、消化器系に不調を起こすこともあるので、必ずしも年齢によるものではありません。薬が合わないと感じるなら主治医に話して、違うアプローチを考えてもらってはいかがでしょうか。
chirochanさんの場合、特に不妊の原因がないということなので、もし経済的に許されるのなら毎月のタイミングを逃さず、治療を継続するのを検討されてはいかがでしょうか。精神的にも休みたいと感じているのなら、通院をお休みするのもありだと思います。今までの治療経験でだいたいご自分の排卵日などは把握されているでしょうから、その場合でも負担にならない範囲でタイミングは逃さず、自然妊娠にトライしてみてください。
採卵数や受精卵の数が低下していることも心配されています
年齢的にどうしても採卵数が減ってしまうのは致し方ないことなのですが、通常原始卵胞から排卵するまで、卵子は3カ月周期でつくられます。これにはよい波と悪い波があるので、たまたま悪い波の時に採卵した可能性もあります。年齢的に波の大きさは徐々に下がってきますが、またよい波がくるかもしれません。
もしAMHの数値が正常で、今まで低刺激法で治療していたのなら、一度高刺激法で卵子を多く採る選択をしてみるのもいいかもしれません。
治療三年目ということで、焦燥感にかられたり、ストレスが積み重なる頃かもしれません。不妊治療のゴールはもちろん出産ですが、chirochanさんの治療履歴を見ると、二度妊娠され、受精卵も胚盤胞まで育っています。ということは、条件が整えば妊娠できるということが証明されているのです。40代は着床率も妊娠率も下がるなかで、ここまできているという事実は決して悪い経過ばかりではないと考えます。ですので、ぜひ主治医に今の体調、薬の副作用のこと、刺激法を相談しながら、治療をすすめてみてはいかがでしょうか。
- 先生から
- 痩せすぎも不妊の原因になります。食事の栄養バランスを見直すなど
適正体重をめざして妊娠しやすい体づくりを
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.45 2020 Spring
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