スペインでの「卵子提供を伴う体外受精治療」、成功率は?費用は?
インタビュー
不妊治療
スペインでの「卵子提供を伴う体外受精治療」、成功率は?費用は?
2020.10.30
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海外での卵子提供を伴う不妊治療を検討し始めたけれど、治療費、渡航費などを合わせた費用の総額を知り、改めてハードルの高さを認識したという方も少なくありません。今回は、国際的に活躍する生殖補助専門医ニチケ・マルクス先生に、スペインでの卵子提供を伴う不妊治療にかかる費用や成功率について伺いました。
スペインでの卵子提供を受けての不妊治療、成功率は?
一般的に、妊娠の可能性と女性の年齢は直接的に関係しています。とはいえ、これはご自身の卵子での妊娠を希望する方の話。卵子提供を伴う治療を受ける場合、年齢に関係なく、一定の成功率が期待できると言えます。
スペインでは、18歳以上、35歳以下の心身ともに健康な女性が卵子提供者になることができます。卵子の提供を希望する女性は、血液検査をはじめ感染症検査、肝機能検査、遺伝子検査、染色体検査、経腟エコーを含む婦人科検診など、法律で定められた一連の検査を受けます。これらの検査結果がすべて正常であることを確認されてはじめて、卵子提供者として、卵子を必要とする女性のサポートが可能になるのです。
ドナー候補の女性には、年齢が若いこと、また妊娠が十分に期待できることを検査し確認した上で卵子の提供に進んでもらいますので、治療の成功率は80%前後だと報告されています。ちなみに、ここでいう「成功率」とは、胚移植から2週間後の血液検査で陽性の反応が出るケースのことを指します。
スペインで卵子提供を伴う不妊治療を受ける費用はどのくらいでしょうか?
同じスペイン国内であっても、治療費用はクリニックにより異なっています。
スペインで卵子提供を伴う不妊治療を受ける際には、お互いの匿名性を守るため、卵子提供者と患者とのマッチングはクリニックが行うことになるのですが、残念ながらヨーロッパではアジア人や黒人のドナーが見つかりにくい傾向にあります。こうした人種の卵子を希望する方への不妊治療を実施できるクリニックは、ほんのわずかです。
ちなみに、日本語でサポートできる体制を整え、日本人ドナーを保証して治療を行なってしているヨーロッパの施設は、私の知る限り当院のみです。
費用ですが、ヨーロッパ出身のドナーの卵子による治療で6000€から10,000€。アジア人や黒人など、数が限られてくる人種のドナーの卵子による治療の場合には12,000€から17,000€ほどです。
クリニックが提示する治療費用には、陽性反応や、卵子や胚の数に対する保証が含まれている場合もあります。また、提示金額に体外受精にかかる費用やドナーの薬代、胚の凍結やその後の保存費などが含まれているかどうかもクリニックにより異なりますので、事前にしっかりと確認をすることをおすすめします。
卵子ドナーへの謝礼金はどのくらい必要なのでしょうか?
スペインでは、卵子ドナーへの謝礼金は1000€程度と決められていまして、ほとんどのクリニックがこの決まりを守っています。これは、卵子そのものの対価ではなく、複数回の通院や検査の受診、投薬、採卵などを含めた、時間と労力に対する謝礼です。
スペインにおける卵子提供は完全に匿名で、マッチングもクリニックが行い、謝礼金の支給もクリニックが行うため、患者がドナーを選んだり、直接謝礼を渡したりすることはできません。
ニチケ・マルクス先生よりまとめ
日本にいると、スペインで受けられる不妊治療についての情報があまり入ってこないので、スペインに渡航すれば卵子提供を伴う不妊治療が受けられるという事実自体、まだまだ広く知られてはいないかもしれません。
ですが、世界中のさまざまな国で治療に当たってきた医師である私に言わせると、ヨーロッパ全体で実施されている卵子提供を伴う治療のうち約60%がスペインで行われていますし、スペインには最先端の医療設備と技術があり、経験を積んだ素晴らしい医師がたくさんいます。また、他国に比べて治療もリーズナブルなんですよ。
ニチケ・マルクス(Markus Nitzschke)先生
生殖補助医療専門医・産婦人科医。世界各国のクリニックでの経験を経て、現在は各所のクリニックと提携しながら国際的な活動を展開。特に卵子提供を伴う体外受精を行う。
≫ Amrita Fertility Japan
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