【Q&A】不妊の要因とPGT-Aの妊娠率-浅田先生
専門医Q&A 不妊治療
相談者:ぶーにゃんさん(39歳)
アンタゴニスト法で1回採卵を実施し、採卵数3個のうち2個胚盤胞へ。
移植の結果:
1回目は着床なし、2回目は着床あり(hcg38)の化学流産。
転院をし、PGT-Aを行う自然療法の採卵を連続3回実施した結果、
1回目:採卵数1個→受精〜胚盤胞まで到達、PGT-Aでは移植可能胚A判定
2回目:採卵数2個→2個とも受精〜胚盤胞まで到達、PGT-Aは1個A判定、1個異常胚
3回目:採卵数1個→受精〜胚盤胞まで到達、PGT-Aは移植可能胚A判定
※連続3回採卵をしたのは、PGT-Aの結果がこなかったため。
合計:採卵回数4回 移植2回
AMH:0.4
以上の治療を踏まえ、
低AMHで1度の採卵数は少ないのですが、1つのたまごの成長率や移植可能胚になる確率が高いため、これは卵子の数は少ないけれど質はまだ大丈夫というふうに考えてもいいのでしょうか?
仮に質が良いにも関わらず、タイミング療法を1年以上続けて1度も妊娠をしなかったと言うことはたまごの問題より子宮の中に問題がある可能性も考えられますか?
移植前に受けるべき検査内容があれば教えて下さい。
最後に、PGT-Aの移植胚を移植した場合、妊娠率はどれくらいでしょうか?
浅田先生からの回答
AMHが0.4ng/mlで、半年前から育つ卵子が少ししかなく自然周期で採卵をされているということですが、AMHが0.4ng/mlということは、少し卵巣を刺激すれば、もう少し卵子が採れる可能性があるかもしれません。
そうなると今より効率よく採卵ができるかもしれません。
驚くべきことに、39歳となれば受精卵の8割以上が染色体異常となります。ぶ-にゃんさんの卵子は胚盤胞まで育ち、A判定が多いということですので、これは良いことだと思います。
また、子宮の中に問題がある可能性も考えられるかどうか?とのことですが、現在、子宮奇形や中隔子宮でない限り、子宮側に問題があることを証明するような有効な診断はありません。慢性子宮内膜炎やEndomeTRIO検査等がありますが、エビデンスレベルは非常に低く、世界的には評価はされていない検査であり、ビジネスとして検査が行われているのが現状です。
着床率を上げるには、新鮮胚移植よりも凍結融解胚移植にした方が有効であることが、エビデンスとしてはっきりと分かっています。ただ、凍結融解胚移植のプロトコールや使用する黄体ホルモンはクリニックごとに違います。黄体ホルモンの使い方により着床の時期も違うので、その時期を確認するための検査がERA検査だと思っていただいた方が正しい認識です。
子宮側で妊娠する卵を選んでいるのであれば子宮外妊娠は成立しませんし、代理出産で他人の子宮に受精卵を移植した場合、その妊娠率は移植した受精卵の年齢となることを説明できません。ですから、子宮側に問題がある、という考え方が少し間違っていると思います。また、PGT-Aの移植胚を移植した場合ですが、40歳でPGT-AのAランクの正倍数性の胚を移植した際の妊娠率で例えると、通常であれば移植あたり20%~30%の妊娠率が、倍の50~60%になるかと思います。
ただ、PGT-Aは卵子の数が多い人には有効な検査ですが、PGT-Aの検査をする細胞の箇所と赤ちゃんになる内細胞塊は必ずしも一致するわけではないので、採卵した卵子の数が少ない場合は、あまり有効な検査ではないと言えます。
40歳くらいであれば、平均30~40個の卵子で1人の赤ちゃんが生まれると言われていますので、それを目指して治療を続けてほしいと思いますし、自然に卵胞が育つのを待つのではなく、刺激をして少しでも多くの卵子を短期間に採ることのできる施設に通われた方が良いのかもしれません。