【Q&A】TRIO検査について-浅田先生
専門医Q&A 不妊治療
相談者:PinoPinoさん(34歳)
先日、初めての採卵で9個の胚盤胞を凍結できました。
移植周期に入る前に、TRIO(ERA/EMMA/ALICE)検査をすべきか迷っています。
まずは1回、移植にチャレンジしてみた方が良いのでしょうか?
早く移植したい気持ちの一方で、せっかく凍結できた受精卵のことを考えると、先に検査をして、母体の原因(となる可能性)を潰しておいた方が良いのではと思う気持ちもあります。
慎重になり過ぎでしょうか?
浅田先生からの回答
34歳で凍結した胚盤胞が9個あり、先にTORIO検査をして母体の原因を潰しておいた方が良いのでは?ということですが、そもそもその考えは誤りです。妊娠率は受精卵だけで決まります。子宮内膜が無くても子宮外妊娠はしますし、代理出産の場合、30歳の人の受精卵を60歳の人の子宮内膜に移植すると30歳の人の妊娠率となります。ですから、子宮側が妊娠をコントロールしているわけではないことを理解していただければと思います。
最近よく耳にするTRIO検査ですが、これら検査のエビデンスは確立されているとは言えない状況です。ERA検査は着床時期を調べる検査ですが、黄体ホルモンの投与方法や、自然周期であれば排卵の仕方により着床の時期は変わり、また、同じ人でも周期による排卵の仕方、黄体ホルモンの出る時期などでも、着床の時期は変わるので、あまり意味がない検査だということが分かっています。よって、TRIO検査をするよりも、そのお金で1回でも多く胚移植をした方がよいと考えます。
34歳であれば、一人の赤ちゃんが生まれるために、平均で13~15個の卵子が必要だと言われています。PinoPinoさんとご主人の遺伝子の組合せがよければ、もっと少ない卵子でよいかもしれませんが、逆に悪い場合は、平均以上の卵子が必要となります。
私は、子宮内膜の条件が悪くて妊娠できない人は、本当はほとんどいないのではないかと考えています。
ただ、何度移植しても妊娠しない方が心配されて、このような検査を希望されることは当然だと思います。PinoPinoさんの場合は子宮側が妊娠をコントロールしていると考え方が先に立っているので、TRIO検査を希望されているのではないでしょうか。
“なんとかして妊娠したい”と思われる気持ちは分かりますが、「妊娠は卵子が中心となり成り立っている」こと、ただし「子宮の中の条件が悪ければ、妊娠率を悪くする場合もある」という真実をしっかり頭の中に入れて、まずは胚移植をどんどん進めていくべきだと思います。