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運転手さん、ありがとう。

コラム 子育て・教育

運転手さん、ありがとう。

運転手さん、ありがとう。

2015.6.12

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赤ちゃんエッセイ:運転手さん、ありがとう。


はじめての妊娠、そして出産。楽しみでもあり、不安も少し…。そんな初心者ママを応援したいとスキナベーブでは毎年、赤ちゃんエッセイコンテストを開催しています。エッセイには、先輩ママや専門家の方の体験談がいっぱい。元気になれるエッセイが、きっと見つかります。ジネコでは、これまでの受賞作品の中から素敵なエッセイをピックアップしてご紹介してまいります。



私の妊娠が判明したのは、記録的な猛暑になった昨年の夏でした。喜びと共に悪阻も始まり、非常に辛い日々が続きました。幸いにして理解ある職場の元フルタイム勤務を続けていましたが、仕事以上に大変だったのが行き帰りの通勤。片道一時間以上かけて電車を乗り継ぎ、ラッシュの中数十分立っていることもしばしば。各駅電車に乗ってみたり、遠回りでも座れる路線を探したり。毎日自宅最寄り駅に着く頃にはヘトヘトに疲れきっていました。
さらに自宅は駅から徒歩で約15分。蒸し暑い夜の道をダルさと吐き気に耐えながら歩いて帰るのは泣きたいくらい辛いものでした。あまりにも辛いので贅沢と思いつつ、時おり駅からタクシーに乗るようになりました。
その日も帰宅が遅くなり駅からタクシーに乗った私は、疲れのあまりぼーっとしてしまい、運転手さんに道案内をするのを忘れてしまっていました。あっ!と気がついた時には、何も言っていないにも関わらず、タクシーは自宅前にスッと停車されていました。頻繁に利用する中で同じ運転手さんのタクシーに乗る機会があり、その運転手さんが私の自宅を覚えてくださっていたのでした。
「道案内忘れていてすみません、私のこと覚えていてくださったのですね。」と言うと、「ええ、何度かご乗車いただいていますよ。いつもお疲れ様です。」との答え。ささいな気遣いが疲れ切った心をほっこりとさせてくれました。
その後、その運転手さんのタクシーによく乗車するようになりました。「お疲れ様です」といつも声をかけてくれ、何も伝えなくても自宅の前で止まってくれる運転手さんに対して、私も現在妊娠中であること、働いていて、長時間の通勤をしていることなど、少しずつ色々な話をするようになりました。
妊娠初期は「男の子、女の子、どっちだろう」という話をしたり、男の子とわかってからは、「楽しみですね~」と盛り上がったり。少し期間が開いた後、久しぶりに乗った時は「だいぶおなかが目立つようになりましたね~」と言ってくれたり。いつしか、その運転手さんのタクシーに乗るのが楽しみになっていました。お腹の赤ちゃんの成長を楽しみにしてくれている方がこんなところにもいてくれるということが本当に嬉しかったです。
おかげで辛かった夏も乗り切ることが出来、秋も深まってくるとだんだんお腹も大きくなってきました。つわりがおさまっても、大きなお腹での通勤はやっぱり大変でした。そんな時も駅のタクシー乗り場の先頭にいつもの運転手さんの顔を見るとほっとして、歩いて帰れそうな体調の時も敢えてタクシーに乗ったこともありました。産休は2月からの予定でしたが、年末年始にかけてや1月には「ここを乗り切ればもう少しですね~」と何度も励ましてくれました。
運転手さんのタクシーに最後に乗ったのは、無事に産休に入り、里帰り出産のため帰省する前日のこと。買い物帰りに駅のタクシー乗り場の先頭に偶然いつもの運転手さんのタクシーがありました。いつものように何も言わなくても自宅前で止めてくれた運転手さんに、「おかげで、無事に産休に入ることができ、明日実家に帰ります。運転手さんには夏から今まで何度も御世話になって本当にありがとうございました。」とお礼を伝えることができました。運転手さんにも「本当に良かったですね。どうぞこれからもお体大事にして元気な赤ちゃんを産んでくださね」と声をかけていただきました。
その後、私は3月に無事に息子を出産。長めの里帰りや、引っ越しなどで残念ながら運転手さんにはお会いできていませんが、いつか息子の顔を見せてまたお礼が言いたいです。
運転手さん、本当にありがとうございました。運転手さんとの出会いがあり、たくさん支えてもらったおかげで私は今、無事にこうして息子と出会うことが出来ました。いつかまたお会いできることを楽しみにしております。


 



提供:スキナベーブ 赤ちゃんエッセイコンテスト








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